2025年9月24日、ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」を舞台に、東京スクールオブミュージック＆ダンス専門学校（TSM）と株式会社Vが日本の専門学校として初めてとなるバーチャルオープンキャンパスを開催した。この取り組みは、専門学校の教育活動を仮想空間に大胆に拡張し、参加者がアバターを通じて教員や在校生とリアルタイムに交流しながら、没入感の高い学びの体験を提供する試みとして注目を集めている。
本オープンキャンパスの開催時間は2025年9月24日20時から21時までの1時間で、参加は事前申し込み制である。会場はVRChat内の特設バーチャルキャンパス空間で、参加者は自分のアバターを通してアクセスする。実際のキャンパス訪問と同様に、教員や在校生もアバター姿で参加し、対面に近い距離感で会話や質問が可能だ。これにより、従来のオンライン動画やチャットベースの説明会と比べて、より臨場感ある交流体験を実現している。
このイベントの特徴として特筆されるのは、VTuber業界を志望する学生向けの特別プログラムが用意された点である。TSMは音楽やダンスに特化した専門学校であるが、近年のメディア表現の多様化を背景に、VTuberをはじめとするバーチャルタレント育成にも注力している。今回のオープンキャンパスでは、現役VTuberとして活動しつつTSMの授業も担当する特別講師「clea（クリア）」氏が登壇。clea氏はVRChat内で直接参加者へ業界の最新動向やVTuber活動の実際、魅力を熱く語り、参加者にプロの視点からのリアリティある情報を届けた。これにより学生はVR空間で将来のキャリアを具体的にイメージしやすくなっている。
株式会社Vはメタバース領域の先進企業として、単なるイベント主催に留まらず、教育分野におけるデジタルトランスフォーメーション推進の役割を担っている。今回のVRChatオープンキャンパスはまさにその一環であり、地理的制約を超えた遠隔参加が可能となり、教育の多様性とアクセス性向上を促進している。VRの没入型体験により、参加者は教室の狭さや交通の不便さといった物理的制約を感じることなく、自由に動き回りながらキャンパスツアーや授業見学、講師や学生との交流を楽しめる。
こうしたバーチャルオープンキャンパスは、コロナ禍以降に急速に広まったオンライン教育の次の進化形とも言える。リアルな場に行かずとも「体験できる」教育イベントとして、今後の専門学校や大学の新たな集客やブランド構築のモデルケースとなる可能性が高い。TSMとVの連携は、専門学校教育がメタバース時代に適合し、新世代の学生ニーズに応えるための最先端の取り組みとして評価されている。
また、この試みは単なる案内会の枠を超え、学習環境としてのVR活用の未来像を示唆する。参加者はアバターとVRらしい演出を通じて、単なる講義視聴では得られない感覚的でインタラクティブな学習を体験できるため、集中力や理解度の向上、さらには物理的な施設では難しい実験的かつ芸術的な表現も可能になる。TSMはこれをきっかけにバーチャルキャンパスの継続的運用やコンテンツ拡充を検討し、教育の質と楽しさの両立を目指している。
このように、VRChatを活用したTSMの専門学校オープンキャンパスは、仮想空間の可能性を活かした最先端の教育体験として2025年9月に初めて実施され、大きな話題となった。教員・学生・参加者がアバターとして集い、リアルとバーチャルの境界を曖昧にしながら、未来の教育の姿を示す試みとして、その意義は今後ますます拡大していくことが期待されている。
