全国自治体が合同で取り組む3Dメタバースを使った新しい不登校支援プラットフォーム『VLP』が、2025年6月に新エリア「あおぞらルーム」を実装し、不登校の児童・生徒の居場所づくりと学びの支援に新風を吹き込んでいます。東京都発のこの事業は、全国30以上の自治体が参加し、屋外の芝生や森の環境を模した開放的な空間で、児童同士の交流や学習を促進することを目指しています。
この『VLP』は、単なるバーチャル空間の提供に留まらず、児童の「交流」「学習」「成長」を多角的に支える次世代の教育・支援モデルとして構築されています。背景には不登校の増加や多様なニーズを抱える生徒に対して、従来の教室や支援方法だけでは対応が困難な状況があり、オンライン上に安全かつ自由なコミュニティを作ることで、生徒たちのメンタルヘルス向上や継続的な学びの場を創出する必要があったのです。
『VLP』の仕組みと導入自治体の広がり
『VLP』は、東京都が中心となり2023年9月に運用を開始した3Dメタバースサービスで、主に不登校の児童生徒および日本語支援が必要な子どもたちを支援しています。メタバースとは仮想空間上に構築された多人数同時参加型のインタラクティブな世界であり、『VLP』では、アバターを通じて実際に子ども同士が顔を合わせて交流できます。
2025年2月時点で、東京都を含む30以上の自治体が正式導入し、県境や学校区の枠組みを超えた子どもたちの交流を可能にしました。これは地域の孤立化を防ぎ、多様な背景を持つ子どもたちが主体的に参加できる環境を作るうえで大きな意義を持っています。また、国や自治体だけでなく、大日本印刷株式会社やレノボ・ジャパン合同会社といった大手企業も連携し、技術支援と推進体制を強化しています。
新設された「あおぞらルーム」の特徴
2025年6月に実装された「あおぞらルーム」は、『VLP』内で初めての「屋外型」の空間です。これまでの室内型の閉鎖空間とは異なり、青空の下、芝生や樹木に囲まれた自然豊かな環境を仮想空間上に再現。心理的な開放感を与え、よりリラックスした状態で子どもたちが集える場を提供することを狙いとしています。
この空間では、子どもたちが自由に散策したり、グループで座って話したり、ワークショップや勉強会に参加したりすることが可能です。従来のバーチャル教室にはない、自然との調和をイメージした心地よさが、子どもたちの精神的な安心感に繋がると同時に、主体的なコミュニケーションの促進に寄与しています。
継続的な合同イベントと支援の今後
『VLP』では、自治体合同の交流イベントや学習会を定期的に開催することで、参加者同士の繋がりを深めています。合同イベントは、単発の支援に終わらず、長期的な支援ネットワークの構築を意図しており、子どもたちが「安心して居場所を見つけられる」環境を作り続けています。
今後も、「あおぞらルーム」を中心にさらなる新コンテンツ開発や、参加自治体の拡大を目指すことで、バーチャル空間を活用した教育支援の先駆けとなるモデル構築を進めます。このような取組は、パンデミック以降に加速したデジタル教育の流れと合致し、日本全国の子どもたちにとって貴重な学びと成長の場となることが期待されています。
まとめ
全国各地の自治体が連携して導入している3Dメタバースプラットフォーム『VLP』は、不登校児童・生徒の居場所づくりと支援に革新をもたらしています。あおぞらルーム実装により、子どもたちが開放感ある自然空間で交流や学びを深めることが可能になり、精神的な健康維持を図る上で重要な役割を果たしています。行政、企業、教育現場が一体となったこのモデルは、今後の不登校支援の新たなスタンダードとなる可能性を持っています。



