音楽とeスポーツの融合を目指した新たなプロジェクト「MeSTAGE(みいすてーじ)」が2025年10月22日に始動した。このプロジェクトは、プロeスポーツチーム「SCARZ」を運営する株式会社XENOZとビクターエンタテインメント株式会社との共同事業で、音楽とeスポーツという2大カルチャーを組み合わせることで、年齢やスキル、国籍を問わず誰もが楽しめる新しい形のエンタテインメント体験を創出することを狙う。
「MeSTAGE」の特徴は、eスポーツ本来の競技性の高さや専門用語の多さ、プレイヤーと観客との距離感といった敷居の高さを、音楽の普遍的な力を活かして解消し、より開かれた文化としてeスポーツを広める点にある。プロジェクトは、単なるゲームの試合観戦にとどまらず、音楽ライブ演奏やパフォーマンス、eスポーツ競技のサウンド演出を織り交ぜることで、視覚だけでなく聴覚や感覚に直接訴える五感を刺激する体験型のイベントを提供していく。こうした取り組みにより、「観る・聴く・感じる」という全く新しいエンタテインメントとしてeスポーツを進化させていく意向だ。
具体的には、ライブイベントやeスポーツ大会の開催に加えて、音楽やゲームが持つ物語性(ストーリーテリング)を融合させることで、単なる競技やコンサートを超えた多面的な表現の場を創造。これにより、新しい才能の発掘や既存のクリエイターの活躍機会を生み出すことも目標としている。
プロジェクトメンバーとしては、国内外で人気を博すVTuberアーティストDELUTAYA(デルタヤ)が加入し、その独自の音楽性とエネルギッシュなパフォーマンスでMeSTAGEの世界観を強固にしている。DELUTAYAの参加は、音楽とeスポーツの融合というテーマにおける重要な一歩であり、彼女の活動を通じてプロジェクトのさらなる飛躍が期待されている。加入を記念した書き下ろしイラストのグッズ販売もスタートしており、ファン層の拡大にもつながっている。さらに、2025年10月29日にはDELUTAYAによるボーカロイド楽曲カバー「ネトゲ廃人シュプレヒコール」がMeSTAGEから配信される予定で、この楽曲は電子音楽の要素を多く含み、社会の日常への違和感を高速ビートに乗せて表現した中毒性の高いナンバーとして注目されている。
このように、「MeSTAGE」は単なるeスポーツの競技イベントに留まらず、音楽とパフォーマンスを通じてより多様なエンタテインメントを提供することを目指している。eスポーツの世界はこれまでプレイヤーやゲームファンの中に留まることが多かったが、MeSTAGEは音楽ファンやライブ文化を好む層を取り込み、新規の観客層や参加者の裾野を広げる挑戦でもある。
また、音楽とeスポーツの融合により、イベント参加者は単に試合の結果を「観る」だけでなく、音楽ライブのように「聴き」「感じ」る体験を享受できるため、従来とは異なる感情的な高揚や没入感を味わえる点も大きな特徴だ。この新しい体験モデルは、これからのエンタテインメントの方向性において重要なテンプレートとなる可能性がある。
さらに、eスポーツは競技としても高度に進化し続けているが、専門用語やゲーム内の複雑なルールにより初心者にとって学習コストが高いという課題があった。MeSTAGEは音楽の力を借りることで、この門戸を広げ、知識のない人でも楽しめる空間を作り出そうとしている点で、業界に革新的な価値をもたらしている。
こうした取り組みの背景には、eスポーツを単なる「ゲームの競技会」から、あらゆる人に開かれた文化・コミュニティへと成長させるという大きな視座がある。運営側は「MeSTAGE」を通じて、参加者が音楽とゲームの両面から自己表現や交流を行い、新たな才能や表現形態が芽吹く「次世代型エンタテインメント」を作っていく構想を示している。
今後はこのプロジェクトによるライブイベントや大会が順次開催され、VTuberを中心としたコンテンツクリエイター同士のコラボレーションやファンとの双方向の交流も期待される。国内外からの注目も高まっており、eスポーツと音楽の境界を超えた多彩な活動が展開されていく見込みだ。
要するに「MeSTAGE」は音楽とeスポーツの垣根を破り、五感を刺激する新時代のエンタテインメント体験の創出を狙う画期的なプロジェクトであり、その始動は両カルチャーの未来を切り拓く重要な一歩となっている。



