日本のNFT市場は、近年さまざまな分野で活用が進んでおり、その一例として注目を集めているのが「NOT A HOTEL」である。NOT A HOTELは、NFTを用いたユニークな不動産サービスを提供しており、2022年にはNFTと「現実世界の資産(RWA)」を結びつける新たな仕組みを導入し、国内で7.6億円の売上を達成した。
NOT A HOTELの概要
NOT A HOTELは、親会社が掲げる「家はひとつ」という固定概念を超え、自由で創造的なライフスタイルをWEB3技術で実現することを目指すプロジェクトである。同社は、NFTを用いたメンバーシップサービス「NOT A HOTEL MEMBERSHIP NFT」を展開しており、ユーザーはNFTを介して宿泊や食事の支払い手段として利用できるだけでなく、貸出(レンディング)を通じて報酬を得る仕組みも提供している。
NACトークンのIEO
2024年10月31日、NOT A HOTEL DAO株式会社は、GMOコインで「NOT A HOTEL COIN(NAC)」のIEO受付を開始し、併せてホワイトペーパーと新しいウェブサイトを公開した。IEOとは、暗号資産を用いて企業がプロジェクト推進に向けた資金を調達する方法であり、新しく発行するトークンを先行して販売することで、企業が事業に必要な資金を集めることができる。
NACトークンの特徴
NACトークンは、宿泊や食事の支払い手段として使えるだけでなく、貸出(レンディング)を通じて報酬を得る仕組みも提供している。また、土地の提供や建築プランの提案といった貢献活動に対してNACが報酬として与えられ、地域住民の積極的な参加と還元を促している。さらに、不動産資産による裏付け、段階的な市場解放による安定性の確保、収益を活用したバイバックやバーンの実施を通じ、トークンの価値を高める仕組みが設計されている。
NACトークンの価格動向
NACトークンは、2024年12月13日よりGMOコインにて上場されている。上場直後は1,100円~1,800円台でスタートし、IEO時の公募価格が1,000円であったため、上場直後からすでに公募価格を上回っていた。現在は約2,000円程の高値を付けているが、上場から間もないため価格が安定していないとも捉えられる。
今後の展開
今後、NOT A HOTELのNACトークンは、宿泊だけではなく、宿泊先での移動手段や各エリアでの飲食店にて利用用途が拡充される見通しだ。さらに、NACトークンを介してDAOに参加し、トークンを貸し出すことでNOT A HOTELの利用権を得るなど、WEB3とRWAを融合したライフスタイルを楽しむことが可能となる。
結論
NOT A HOTELのNACトークンは、日本のNFT市場における新たな可能性を示唆している。同社のユニークなサービスは、NFTとRWAの融合分野において他プロジェクトへの影響を与えている。NACトークンのIEOは大きな成功に終わったが、上場から間もないため、取引する際には充分注意が必要である。