2025年に入り、国内で暗号資産詐欺の被害が過去最悪の水準で急増している。特にSNSを活用した投資詐欺やロマンス詐欺が深刻化し、警察庁の発表によれば2025年1~8月だけで認知件数8,217件、被害総額は929億7,000万円にのぼる。とりわけSNS型投資詐欺は前年同期比で増加し、被害規模・件数ともに単月で過去最多を記録した。こうした状況下、安全な暗号資産投資を行うための方法が強く求められている。
最も急増している詐欺手口の特徴
SNS型投資詐欺にはいくつかの特徴がある。2025年3月以降はYouTubeのバナー広告や著名人を装った偽広告、偽動画が急増。広告を見て興味を持ったユーザーは、LINEグループへ誘導される。この手口では、LINEに誘導された被害が全体の9割以上(98.6%)を占めている。
LINE上では、投資コミュニティや限定情報と称して、専門用語や過去の成果を装う投稿、証拠画像・動画などが共有される。ターゲットとなる年齢層は50~60代が半数以上を占め、資金送金にはネットバンキングが多用されるが、送金後に出金できなくなったり、さらに追加投資を求められたりする流れだ。
よくある被害パターン
– 著名人をかたる広告や動画で投資の成功体験談が語られ、信頼を生み出す。
– LINEで連絡・コミュニティ参加を促され、「今だけ」「限定」「特別ルート」などの文句で勧誘される。
– 初期投資額を小さく見せ「まずはお試し」で安心感を与え、その後さらなる入金を促す。
– 利益が出ているように見せかける画面や、実際に一部出金を可能にし信頼を積み重ねたうえで、大きな資金投入を誘導する。
– 最終的には出金不能、応答不能となる。
安全な暗号資産投資方法
詐欺被害が多発する中、安全に暗号資産投資を行うための方法として最も重要なのは、「第三者による適正な情報と信頼できるサービスの利用」だ。
金融庁登録業者への限定利用
国内で認可・登録された暗号資産交換業者のみを利用することが最優先である。金融庁は公式ウェブサイトで登録業者の一覧を公開しており、未登録業者は違法であり、トラブル時の救済が期待できない。金融庁登録が確認できないサービスは利用しないことが被害回避の第一歩だ。
SNS・広告からの勧誘を絶対に信用しない
YouTubeやLINEで知った投資話、広告経由の勧誘は原則疑ってかかるべきだ。著名人が紹介しているように見える広告でも、偽造や転用されたケースがほとんど。暗号資産業界では個別リーチ、SNSグループでの限定案内などを公式が行うことは基本的にない。
独立した情報収集、複数の情報源で検証
投資先やサービスを選ぶ際は、公式サイト、金融庁や業界団体など複数の公的情報源を必ず確認する。知人や家族からの紹介も同様に十分な検証が必要。最近は「友人の勧め」や「知人グループ」での被害も多い。
個人情報・資金の安易な提供の禁止
LINEやSNSメッセージ、非公式サイトで氏名・住所・口座・カード情報等は絶対に入力してはならない。特に「初期登録」「本人確認」といった名目での情報提供要求は詐欺の常套手段。公式取引所では必ずSSL通信(https)や本人確認プロセスが明確に管理されている。
万が一被害に遭った場合の対応
少しでも不審な点があれば速やかに消費生活センターや警察へ相談すること。送金してしまった場合も、銀行や金融機関へ連絡し、送金停止や調査を依頼できる場合がある。
高齢層の被害増加と教育の重要性
警察庁の統計によれば、被害者の過半数が50~60代となっており、退職金や蓄財を元手にした投資がターゲットとなっている。SNS利用の拡大とともに、デジタルリテラシーが十分でない層を狙った手口が巧妙化している。認知件数も右肩上がりで、2025年8月単月では認知件数147件、被害額23億7,000万円と急増。こうした状況に対して、家族や周囲の人が注意喚起を積極的に行うことが重要だ。
まとめ
国内で暗号資産詐欺が過去最悪ペースで拡大する中、安全な投資には「金融庁登録の国内業者限定」「SNS広告系投資話を無視」「公的情報源での徹底検証」「個人情報の厳格管理」が不可欠である。不審な勧誘・広告は絶対に信用せず、困った場合は速やかに公的機関へ相談することで、大切な資産を守ることができる。暗号資産投資においては、正しい知識と慎重な行動が最大の防御となる。