2025年の暗号通貨市場におけるイーサリアムの展望
2025年に入り、暗号通貨市場は新たな局面を迎えている。ビットコイン(BTC)と並ぶ主要通貨であるイーサリアム(ETH)は、相場動向、技術革新、機関投資家の参入、ETF承認の可能性など、複数の要因が複雑に絡み合いながら、その価値と役割を進化させている。ここでは、2025年のイーサリアム市場展望に焦点を当て、直近の価格動向や注目すべき技術アップグレード、そして長期的な成長可能性について掘り下げていく。
イーサリアム2025年の価格動向
2025年10月現在、イーサリアムは1ETHあたり約58万円前後で推移しているが、日次の変動幅は1%台に収まるなど直近では安定した値動きを見せている。実際の取引量は7兆円を超える規模で急増しており、特に3,900ドル(約58万8,000円)付近を割り込むタイミングで機関・個人投資家による「押し目買い」の動きが活発化している。同時に、ETH連動型ETFではマイナスフロー(資金純流出)が観測されたものの、運用資産総額(AUM)は2兆円を超えており、市場への与えるインパクトは限定的と評価されている。
価格予測に関しては、2025年の下限を3,142.70ドル(約47万円)、上限を9,428.11ドル(約142万円)、平均を6,285.41ドル(約95万円)とする分析が有力であり、短期的な下落圧力が働いたとしても、中・長期では底堅い需要が維持されると見られている。
機関投資家の資金流入とETH ETFの承認
2024~2025年にかけて「現物型ETH ETF(上場投資信託)」の承認・上場に関心が集まっている。もし正式承認されれば、2020年代半ばにビットコインETFが果たしたような機関投資家による大量の資金流入が期待でき、市場ボラティリティの低下、流動性向上というプラス効果をもたらすと関係者はみている。さらに、ペイパル(PayPal)やステート・ストリートなど大手企業の参入によるプロダクト開発、レイヤー2技術の採用も、イーサリアムのネットワーク利用価値を底上げしている。
2025年大型ネットワークアップグレード
2025年の最大トピックの一つが、年内に実施予定の「ペクトラ(Pectra)」および「フサカ(Fusaka)」という2大アップグレードだ。これらのアップデートでは、バークルツリー(Verkle Trees)やダンクシャーディング(Danksharding)などの新技術が導入される。これにより、
– チェーン全体のスケーラビリティ
– トランザクション手数料の大幅削減
– 大規模分散型アプリケーション(dApps)およびDeFiサービスの更なる成長
が予想される。これはイーサリアムネットワークにとって歴史的な節目であり、ユーザーエクスペリエンスの向上や新規開発者・ユーザーの流入を促す要因ともなっている。
短期的リスクと中長期の強気材料
リスク要因として、ETFの一時的な資金流出や他ブロックチェーン(例:ソラナ、アバランチなど)との競争激化、グローバル規制環境の変化が挙げられる。しかし、ETHの市場構造(買いによるサポートラインの堅牢性)、ネットワーク利用料(ガス代)の安定化、dApps市場の成長が、中長期では価格下支え要因となり得る。さらに、ETH保有に対するステーキング報酬の魅力や、NFT・トークン経済圏の拡大もETH価値の裏付けとして注目されている。
まとめ:イーサリアムは「資産」と「基盤」の二重性で進化
2025年のイーサリアムは単なる暗号資産としてだけでなく、DeFi・NFTエコシステムを支える「分散型アプリケーション基盤」として地位を確立しつつある。ビットコインが価値の保存(ストアオブバリュー)としての側面を強めるのに対し、イーサリアムはトランザクション手数料所得、デジタル証券(セキュリティトークン)、DAO、分散型金融インフラなど多用途のインフラとしてさらなる発展が期待されている。
2025年後半には大型アップグレード効果やETF市場の進展が相まって、イーサリアムはその「金融レイヤー」としての役割を強く打ち出し、今後もグローバルな資金流入とイノベーションを牽引し続けるだろう。



