ビットコインが再び注目の的に――市場回復力の高さで83,700ドルに反発
2025年4月中旬、世界の暗号資産(仮想通貨)市場は再びビットコイン(BTC)に大きな注目を集めている。特に今週、ビットコインが大幅な回復を見せ、83,700ドルまで反発したことが、従来の市場観測者だけでなく、新たな投資家層にも強いインパクトを与えている。
ビットコインの回復力が際立つ理由
今回のビットコイン反発の背景には、従来型金融市場の不安定さがある。米国株式市場ではS&P500やナスダック総合指数が1年以上前の安値圏に急落し、長期債の利回りも2007年以来となる高水準を記録するなど、不安感が高まっていた。このようなリスクオフ局面では、過去にはビットコインも株や他のリスク資産と同様、もしくはそれ以上に大きな下落を経験してきた。しかし、今回は違う。ビットコインは株価指数に比べて下落幅が緩やかで、他のメジャーな暗号資産、特にイーサリアム(ETH)などと比べても圧倒的な回復力を示した。
例えば、最新の週足ではビットコインが約7%の上昇を記録。一方、イーサリアムはわずか1%の反発にとどまり、「ETH/BTC」比率は0.019と5年ぶりの低水準まで落ち込んだ。これは、今後も特別なイベントや好材料が無い限り、ビットコインが他の主要暗号資産をアウトパフォームし続ける可能性が高いことを示唆している。
市場心理を後押しした要因とは?
ビットコイン価格の急反発を後押しした直接的な材料の一つに、米国ドナルド・トランプ大統領による経済緩和措置の発表が挙げられる。米国での関税一時停止や引き下げなどの発表が市場心理を強く好転させ、株式市場とともに仮想通貨市場にも資金が流入しやすい環境を作り出した。
加えて、過去に比べてビットコインのボラティリティが相対的に落ち着いている点も注目だ。一時は他資産の指数を大きく上回る損失を出していたビットコインだが、今回の下落局面では、むしろ「安全資産」としての側面が意識され始めている。これは年初から続くETF(上場投資信託)市場の盛り上がりや、長期保有層の増加といった、基礎的な市場構造の変化が下支えとなっている。
ビットコインとイーサリアムの格差が再拡大
一方で、イーサリアムは大型アップグレード「Pectra(ペクトラ)」やETFにおけるステーキング要素の承認など大きな材料が待たれてはいるものの、現時点ではビットコインに対して明確な優位性を発揮できていない。特に、ETH/BTC比率の低下は、イーサリアムの投資家にとっては警戒信号として受け止められている。
専門家レポートでも、イーサリアムが今後挽回するためには、「Pectra」アップグレードによるスケーラビリティの向上や大型ETFの新たな市場参加が不可欠とされている。だが、その実現にはまだ不確実性が残るため、短期的にはビットコイン優勢の流れが続く可能性が高い。
今後の展望――市場の均衡と新たな注目ポイント
今回のビットコイン83,700ドルへの反発は、単なる一時的な価格上昇を意味するものではない。伝統的金融市場に不透明感が残る中で、ビットコインが「市場回復力」という新たな評価軸で脚光を浴びていることを示している。今後もETFを通じた資金流入や、マクロ経済環境に左右されにくい資産形成の選択肢として、ビットコインの存在感は一層強まるだろう。
また、ビットコインとイーサリアムなど他の主要暗号資産とのパフォーマンス格差にも引き続き注目が必要だ。今後の市場動向を見極めるうえで、「安全資産」としてのビットコインの新たな地位の確立が、仮想通貨市場全体にも大きな影響を及ぼすことは間違いない。