トランプ新関税が火種に 市場の動揺激化、暗号通貨が新たな避難所として浮上
2026年2月下旬、世界金融市場はドナルド・トランプ米大統領の関税政策をめぐる急展開に揺れている。最高裁判所が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置を違憲・無効と判断した直後、トランプ氏は通商法第122条を根拠に全輸入品への10%追加関税を大統領令で発動。わずか1日後の21日には、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で税率を15%に引き上げる衝撃宣言を発信した。この動きは24日午前0時1分に正式発効し、即座に米ドル安・円高を誘発。日経平均株価は週初から売りが先行し、5万6000円台での攻防を強いられている。
トランプ氏の「関税男」ぶりは、復帰後1年余りの「ツイッター政治」の延長線上にある。昨年12月以降の米ドル指数は主要通貨に対し一貫した下落トレンドを刻み、特に4月の相互関税発表以降加速。ブルームバーグの為替データが示すように、ドル不信の根源はトランプ関税にあり、今回の15%引き上げは輸出関連株への直撃弾となった。NYダウは821.91ドル安と急落、金融株の下げが目立ち、AI経済への混乱懸念も再燃。日経平均の週間予想レンジは5万5500~5万7700円に狭まり、円高リスクと米ハイテク決算(エヌビディア、セールスフォース)が重なる最悪シナリオでは5万5000円台への反落も視野だ。
この市場不安の渦中、投資家心理は一変。伝統資産のボラティリティが高まる中、暗号通貨が「デジタルゴールド」として再評価されている。ここでピックアップするのはビットコイン(BTC)。時価総額首位のBTCは、トランプ関税発動直後の24時間で5%超の上昇を記録し、8万ドル(約1200万円)台を回復した。理由は明確だ。関税戦争はインフレ圧力とサプライチェーン混乱を招き、米ドル依存の伝統市場を蝕む。一方、BTCは国境を超えた分散型資産として、法定通貨の減価リスクをヘッジする選択肢に浮上。米最高裁の判決後、ウォール街では数千億ドル規模の還付金賭けが始まったが、トランプ氏の「プランB」継続が不確実性を増幅。こうした地政学リスク下で、BTCのブロックチェーン技術が信頼の拠り所となっている。
歴史を振り返れば、トランプ第1期の貿易戦争時もBTCは急騰した。2018~2019年の米中摩擦でBTCは3倍以上に跳ね上がり、「リスクオフの安全資産」としての地位を確立。今回も同様の構図だ。IG証券のアナリストは「円高進行で日本株下落が避けられない中、クロス円の下落が輸出セクターを直撃」と指摘するが、BTCは為替変動に左右されにくい。実際、トランプ氏のSNS投稿直後、BTCの取引高は前日比30%増。機関投資家が主導し、BlackRockのビットコインETF流入が過去最高を更新した。
市場参加者の声も熱を帯びる。あるヘッジファンドマネージャーは「トランプの関税はドル不信を加速させる。BTCは金より流動性が高く、24時間取引可能。究極の選択肢だ」と語る。テクニカル面では、BTCの日足チャートで5万ドル超のサポートを維持。RSI(相対力指数)が中立圏に戻り、上値余地が大きい。エヌビディア決算を控えハイテク株が揺らぐ中、BTCは独立した上昇軌道を描く。
ただし、リスクは無視できない。関税15%がグローバルインフレを招けば、FRBの利下げ観測が後退し、BTCの金利感応度も高まる可能性がある。加えて、トランプ氏の予測不能な「こん棒」外交がエスカレートすれば、短期調整も覚悟。とはいえ、長期視点ではBTCの優位性は揺るがない。サプライチェーン再編が進む中、DeFi(分散型金融)エコシステムが代替決済網として機能し始めるだろう。
投資家は今、伝統市場の混乱を尻目にBTCをポートフォリオに組み込む動きを加速。日経平均の5万5500円防衛線と並行し、BTCの8万ドルキープが市場の天気予報となる。トランプ関税が引き金となったこの嵐は、暗号通貨時代の本格到来を告げるシグナルかもしれない。(約1480文字)



