デロイト調査が示すステーブルコイン普及における機関投資家の積極姿勢
機関投資家の圧倒的多数がステーブルコインを長期的に採用する意向を示している。デロイトが大企業のCFO(最高財務責任者)を対象に実施した調査では、ステーブルコインの長期的な使用を予定していないと回答したCFOはわずか1%に留まることが明らかになった。この数字は、ブロックチェーン技術を基盤とする暗号資産が、単なる投機的な資産ではなく、主流の金融インフラとして認識されつつある現状を如実に物語っている。
ステーブルコインの市場規模拡大がこの傾向を後押ししている。2020年には50億ドルに過ぎなかったステーブルコインの時価総額は、2025年には3,080億ドルを超える規模に成長した。この5年間の急速な拡大は、機関投資家による信頼と需要の高まりを直接反映している。特に注目すべきは、取引量の伸びであり、2025年の年間取引量は46兆ドルに達する水準まで増加している。これは、ステーブルコインがもはやニッチな決済手段から、グローバルな価値移動の主流チャネルへと進化したことを意味している。
機関投資家がステーブルコインを重視する理由は、その機能性と効率性にある。従来の国際送金や資金移動では数日の時間を要していたのに対し、ステーブルコインを活用すれば、ほぼ瞬時の決済が可能になる。この即時性は、グローバルに展開する大企業のキャッシュフロー管理や資金調達戦略において、極めて高い価値を持つ。CFOの99%以上がステーブルコイン採用を検討している背景には、こうした実務的なメリットの認識がある。
規制環境の整備も、機関投資家の採用意欲を加速させている要因だ。かつて不確実性が高かった暗号資産領域も、各国における法整備が進むにつれ、コンプライアンスリスクが低下しつつある。これにより、保守的なスタンスを取る大企業でも、ステーブルコイン導入の検討対象とすることが容易になった。
今後、ステーブルコイン決済に対応した新たな金融インフラの整備が加速することが予想される。機関投資家のニーズに応えるべく、デリバティブ取引や流動性確保に対応した専門的なプラットフォームの構築が進行中である。こうした動きは、ステーブルコインが単なる決済手段を超えて、現代的な金融市場の基盤となることを示唆している。デロイト調査の数字は、その未来への移行が既に進行中であることを明確に示しているのである。



