ホームゲーム/eスポーツ待望の続編『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』がシアトルの夜を彩る

待望の続編『Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2』がシアトルの夜を彩る

待望の続編『Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2』がついにリリースされ、ヴァンパイアが暗躍する現代シアトルの夜を舞台とするドラマティックな体験が多くのゲームファンを魅了している。本記事では、その最大の特徴である「プレイヤー選択によって変化するシアトルの勢力構造」に焦点を当て、作品の魅力と深み、そしてプレイ体験の革新性について徹底的に解説する。

本作は、テーブルトークRPG『ヴァンパイア:ザ・マスカレード』の豊かな世界観を土台としたアクションRPGとして開発された。舞台となるのは吸血鬼たちが表裏で支配する“現代のアメリカ・シアトル”。ここには複数のヴァンパイアの勢力・派閥が存在し、権力と生存を賭けた熾烈な闘争を繰り広げている。プレイヤーは100年の眠りから目覚めたエルダーヴァンパイア(長老)を主人公として操作し、失われたはずの力を取り戻すため、そして自らの正体と過去に迫るため、夜の街を彷徨うことになる。

『Bloodlines 2』最大の特徴は、この“シアトルの勢力構造”がプレイヤーの選択によってダイナミックに変化し、その影響がストーリーやゲームプレイ全体に反映されていく点だ。街には複数のヴァンパイア勢力や支配者が存在し、プレイヤーはそれぞれの派閥に接触し協力したり敵対したりすることになる。どの勢力に加担し、どの支配者に情報を流し、どの利害を優先するか。それら選択ひとつひとつが、シアトルのパワーバランスを少しずつ、時には劇的に崩していく。

たとえば、ある派閥の依頼を引き受けて情報を渡すことで、その勢力は一時的に街の主導権を握るようになる。反対に別の派閥を裏切れば、彼らから制裁を受けることもある。その過程で起こるさまざまな事件の“結果”は、ただの分岐やチェックポイント以上の意味を持つ。選んだ勢力がシアトルの新たな支配者となることもあれば、勢力均衡の崩壊による大規模な混乱、そして想定し得なかったドラマチックな展開が待ち受けている。ひとつのゲームプレイが描く“シアトルの夜”は、数多の選択とその帰結の積み重ねによって、唯一無二の物語へと昇華される。

また、主人公であるヴァンパイアには、キャラクターカスタマイズや選択した能力・派閥によって行動パターンが大きく変化する柔軟性が備わっている。プレイヤーは「マスカレード(仮面舞踏会)」と呼ばれる掟――すなわち「吸血鬼としての正体を人間社会に決して露呈してはならない」というルール――を常に意識しなければならない。人間の前で力を見せつけると、致命的な報復を受けるリスクが高まる一方で、説得や超常的能力を駆使することで暗部の社会を立ち回ることもできる。これに加え、夜の街で人間の血を狩る“捕食”も、力を維持するために不可欠だが、目撃されればマスカレード違反扱いとなり、社会からの追放や命の危機にさらされる緊張感を体感できる。

物語面でも、主人公の頭の中に響く“Fabien”という別人格の探偵の声がひとつの重要モチーフとなっている。Fabienは1920年代に主人公を殺した犯人を探しているという設定で、プレイヤーは彼の視点となって過去のシアトル(1920年代)へと没入し、現代パートとの二重構造で100年前の未解決事件の真相に迫る。現在と過去、ふたつの時系列を往還しながら、勢力争いだけでなく“自分自身が何者なのか”という根源的な謎を解き明かしていく物語は、重厚な探索&推理パートと見事に融合している。

開発元のThe Chinese Roomは、『Dear Esther』『Everybody’s Gone to the Rapture』といった物語性重視のタイトルで知られるイギリスのスタジオ。本作は、大幅な開発体制の変更や数度の延期を経て(当初の開発はHardsuit Labs)、ついに2025年秋、PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)、PS5、Xbox Series X|Sで世に放たれた。UIや字幕など日本語対応も万全で、国内ユーザーも没入して楽しむことができる。

『Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2』はプレイヤーの選択が都市の構造と運命そのものをダイナミックに変えていく、とてつもない自由度とリアルな緊張感を両立させた“吸血鬼RPG”の新たな傑作である。あなた自身の手でシアトルの夜を彩り、唯一無二の血の物語を作り上げる体験が、ここにある。

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