学生主体のeスポーツ大会が地方タレントを発掘・活性化――京都学生eスポーツ協会の挑戦
eスポーツが国内外で急速に普及する中、従来の「競技」としての枠組みを超え、教育・地域活性化・人材発掘といった新たな可能性を切り拓く取り組みが注目されている。とりわけ、京都で設立された「京都学生eスポーツ協会」による学生主体のeスポーツ大会・企画は、地方の若者に新風をもたらしつつ、地域文化とグローバル・カルチャーの架け橋として大きな役割を担い始めている。
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「フォートナイト」オリジナル京都マップ――バーチャル観光と人材育成の融合
京都学生eスポーツ協会は、2025年の大阪・関西万博に合わせて、世界的な人気ゲーム『フォートナイト』の開発ツールを活用し、「京都マップ」を学生自ら制作・出展する画期的なプロジェクトを進めている。このオリジナル京都マップは、現実の名所や歴史的建造物をバーチャル空間で再現し、幅広い世代や海外のプレイヤーにも「体験」してもらえる設計となっている。eスポーツを通じて京都文化への関心を喚起するとともに、そのアクティブな「誘客」効果が期待されている。
本プロジェクトの最大の特徴は、地方学生が主体となって設計・運営・発信までを担っている点にある。京都産業大学、立命館大学、京都先端科学大学、京都大学など、府内外10校を超える教育機関から50名超の学生が参加。ゲーム開発・イベント運営・マーケティング・広報など、さまざまな専門分野の学生が力を合わせ、知見と発想力を持ち寄って新しい価値創造に挑戦している。
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大会運営の狙い――若手の発掘と「地方発」新カルチャー創出
京都学生eスポーツ協会は「学生が新規事業を起こす力」を養うことを設立目的とし、eスポーツ競技大会のみならず、マップ制作、イベント企画、他地域とのコラボレーションなど、多面的な活動を推進している。主役はあくまで学生自身であり、地域の行政や民間企業はサポート役に徹することで、主体性と創造力を最大限に引き出している。
この取り組みによって、地域から次世代のeスポーツタレント、さらにはデジタルクリエイターやイベントディレクターの卵が発掘されつつある。学生たちが現場で得る経験値は、単なる「競技者」を越えて、イベント運営、デジタル表現、異文化理解、地域課題解決力など、多様なキャリア形成に直結している。また「京都発」のプロジェクトであることから、地元の伝統文化資産の再発見や発信にも資する相乗効果が生まれている。
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地方創生・グローバル発信のハブとして
メガイベント「大阪・関西万博」の公式会場である「関西パビリオン京都ゾーン」および「EKIspot KYOTO」で発表されるこのeスポーツ企画は、来場者・参加者に「京都体験」「新カルチャー体験」を同時に提供することを目指している。バーチャルとリアル、地域と世界がダイナミックに交差する場の創出が、その最大の成果となる。
将来的には、こうした地方発・学生主体の取り組みが全国に波及し、個々の地域が持つ独自資源を「eスポーツ×クリエイティブ」の切り口で国内外へ発信できるモデルケースとなる可能性も指摘されている。
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今後への展望――持続的な“発掘と活性化”へ
京都学生eスポーツ協会の活動は、eスポーツ大会の開催やマップ制作だけに留まらない。各大学の専門性を生かした後進育成、地元企業との共同プロジェクト、そして卒業生のネットワークを活用した継続的な支援体制の構築など、エコシステム型の成長戦略が描かれている。
このような「学生主体」「地方発」「バーチャル×リアル融合」のeスポーツ大会やプロジェクトが、新世代の地方タレント発掘と地域活性化の象徴として、今後ますます注目を集めていくだろう。