中四国最大規模のeスポーツ大会「THROW THE SPARK」で須藤仁貴選手(競技者名:レオパGC)が優勝した理由の一つは、熾烈なプロ選手たちとの戦いを乗り越えた高い「勝負強さ」と「地元開催のモチベーション」だ。
岡山市北区の杜の街グレース野外ステージで開催されたこの大会は、約2700人の観客が集まる中四国エリア最大規模のeスポーツイベントだった。選手層は極めて厚く、国内トップレベルの6選手が出場。「プロ野球スピリッツ」「ストリートファイター6」「APEX LEGENDS」といった日本でも人気の高い3タイトルで覇を競い合った。その中で須藤選手が頂点を極めたのには、理由がある。
須藤選手が見せた勝負強さには、選手としての経験に裏打ちされた強靭なメンタルがあった。大会後、「プロ選手が揃う中での苦しい戦いでしたが、岡山初の大会で初代王者になれたことを光栄に思います」と語っている。全国で活躍するプロ選手たちに臆せず、冷静沈着に自らのプレーを徹底できたことは、高い集中力と状況判断力の賜物だ。特にeスポーツは一瞬ごとに状況が変化し、瞬時の反応が明暗を分ける。己のゲーム理解を信じ、熱狂する大観衆の中でも平常心を保った姿勢が、最後までパフォーマンスを落とさず勝ち切る原動力となった。
さらに、地元岡山での開催という特別なモチベーションも大きな要因となった。須藤選手は倉敷芸術科学大学メディア映像学科の出身として、「両親に少しでも恩返しをしたい」「SETOUCHI SPARKSはここをスタートとして、岡山をeスポーツの聖地にしていきたい」という強い決意を表明している。単なる個人戦績のためだけでなく、地元岡山の新たなeスポーツ文化の発展に貢献したいという責任感・使命感は、確実にプレッシャーを克服するエネルギーとなった。
現地では岡山理科大学e-Sports研究会の学生たちが大会運営をボランティアで支えるなど、会場全体に地域一体となった熱量が満ちていた。この空気の中で、須藤選手が会場の期待や応援を自身の力に変えられたことも優勝の大きな理由となった。観衆の盛り上がりを背に、普段以上の集中力や闘争心を発揮できたのは、まさに“地元メンタリティ”の強みの一例だ。
中四国最大規模大会で頂点を取った須藤選手の快挙は、地元開催のモチベーションを最大限に活かしながら、国内トップレベルの選手を相手に一切怯まず、安定したメンタルと実力を持って戦い抜いた“勝負強さ”の証明である。そして、大観衆というプレッシャーを純粋な力に昇華できる心の強さこそ、今後須藤選手が全国、そして世界で戦っていく際の最大の武器になるだろう。地元岡山初の大会で咲かせたその勝利は、次世代のeスポーツ選手たちにとっても大きな希望と指針になるに違いない【1】【3】。