バンダイナムコエンターテインメントが手掛ける『塊魂』シリーズに、実に14年ぶりとなる待望の完全新作『ワンス・アポン・ア・塊魂』が登場し、大きな注目を集めている。本作は「ロマンチックアクション」と銘打たれ、伝統の“転がし”アクションをベースに、シリーズ未経験者からコアファンまで幅広いプレイヤーに新たな驚きと進化をもたらす仕上がりとなっている。
【新ハードへの対応と多機種展開】
まず大きなトピックスとして、本作はNintendo Switch、PlayStation 5、Xbox Series X|S、そしてPC(Steam)と現行の主要プラットフォームで一斉にリリースされた点が挙げられる。昨今のゲーム市場においては多機種展開が一般的とはいえ、ユニークな個性を持ったタイトルが、家庭用据え置き機からPCまで網羅的にカバーされるのはファンにとっても嬉しいニュースだ。Switchでは気軽な携帯プレイ、PS5やXboxでは快適なグラフィック&パフォーマンス、PC版ではカスタマイズ性の高さなど、それぞれのプラットフォームの利点を活かして体験できる。
【遊びの根幹は健在、しかし進化】
ゲームシステムの根底は初代『塊魂』のコンセプトを受け継ぎ、プレイヤーは“王子”を操作して、小さなモノから大きなモノまで何でも巻き込みながら塊を大きくしていく。この直感的な気持ちよさと爽快感は、20年近い時を経ても色褪せない。
新作ならではの工夫として登場するのが、「マグネット」や「ロケット」といった新サポートアイテムの存在だ。マグネットで一定範囲のモノを一気に吸い寄せたり、ロケットで塊を高速移動させたりと、転がしアクションの可能性をさらに広げている。従来作で感じていたマンネリや課題意識に、今作は新しさと戦略性という形で応えている点は非常に大きい。
【メイツ収集とカスタマイズ要素の強化】
今作のもう一つの大きな特徴が、王子以外にもプレイアブルキャラクターである「メイツ」が総勢68体も登場するという点である。しかも、単なるコレクション要素だけでなく、各メイツのカラーバリエーションやフェイスパーツを自由にカスタマイズできるため、シリーズ初となる“自分だけのオリジナルキャラ”を作る楽しみにも重点が置かれている。コレクション好きやキャラクター愛の強いユーザーは、全メイツの収集・育成という大きなやりこみ要素に没頭できるだろう。
各ステージには「クラウン」「プレゼント」など、集めがいのある要素が豊富に仕込まれており、クリア後の繰り返しプレイへの意欲を高める工夫も随所に見られる。こうしたやりこみ要素が、かつてのファンはもちろん新規プレイヤーにも長く遊ばせる“塊魂的”中毒性につながっている。
【ローカル&オンライン対戦“スポーツ塊”モード】
さらに、『ワンス・アポン・ア・塊魂』ではシリーズ初の最大4人まで参加できる“スポーツ塊”モードが実装された。家族や友人と同じ画面を共有して盛り上がるローカルマルチプレイだけでなく、オンラインにも対応している。ステージごとに設定されたルールや制限の中で、誰が一番大きな塊を作れるかをリアルタイムで競い合うこのモードは、従来の「ひとりでコツコツ」だけでなく「みんなでワイワイ」という新しい塊魂体験を提案する。
【シリーズ伝統のサウンドも健在】
塊魂シリーズといえば、強く印象に残るサウンドトラックにも定評がある。今回もポップかつユーモラス、そしてどこかノスタルジックな曲の数々が収録されており、それだけを目的にサントラを購入したいという声も多数上がっている。新規楽曲のパワフルさはもちろん、過去作ファンへのリスペクトが感じられるリメイクアレンジもあり、シリーズ愛が感じられる。
【感想とシリーズの未来】
14年の時を経て再び家庭用新作として蘇った『ワンス・アポン・ア・塊魂』は、「転がして、巻き込む」という不変の面白さを大切にしつつ、新要素でさらに遊びの幅を広げた良作である。SNSやレビューサイトでは、初心者でもすぐ楽しめる間口の広さと、コアユーザーが長時間没頭できる奥深さの両立が高く評価されている。
クラウンやメイツ集め、繰り返しプレイのモチベーション作りには賛否両論もあるが、今後のアップデートやDLCでどんな進化を見せるのか、新たな塊魂伝説の幕開けを感じさせるタイトルとなっている。シリーズファンはもちろん、ユニークなアクションゲームを探している全てのゲーマーに体験してみてほしい一作だ。



