若手クリエイター鹿目凛の『ぺろりん日記』が共感を呼ぶ最大の理由は、「ネガティブな感情や日常のモヤモヤを包み隠さず表現し、それをユーモアと温かさで描ききることで読む人の心に寄り添っている」点にあります。
『ぺろりん日記』は鹿目凛が、かつてアイドルグループ「でんぱ組.inc」のメンバーとして活躍していた自身の経験から生まれた作品であり、彼女の“第二章”としてイラストレーター・漫画家としての活動を象徴するものです。彼女は2014年にアイドルデビューし、2025年1月までの活動期間に様々な葛藤や苦労を経験。そのリアルな心の揺れ動きを、自身のキャラクター「ぺろりん」の視点でゆるく、しかし誠実に描き切っています。
特に共感を集めているのは、「ネガティブなことも全部エンタメで消化したい」という鹿目の姿勢です。クリエイターとしての才能だけでなく、自身の内面の弱さや痛みを隠さずオープンにし、それを笑いやかわいらしさに転換させているため、読者は単なる表面的な明るさではなく、深い共感と励ましを感じるのです。例えば、孤独感や失敗、社会のプレッシャーといった、誰もが時に抱く感情を、ぺろりんのゆるいタッチと独特な視点で描くことで、「自分も同じだ」と読者に思わせ、心の距離を縮めています。
また、鹿目はアイドル時代を「第一章」と呼び、「イラストレーター・タレントとして歩むこれからが第二章」と位置づけています。この自己再定義の過程もファンや支持者の共感を呼ぶポイントです。彼女自身が変化を恐れずに新しい自分を模索していく姿は、多くの若者にとって励みとなり、彼女の作品が単なるエンタメ以上の意味を持つ基盤となっています。
さらに、『ぺろりん日記』の世界観は、マンガの中で鹿目が暮らす生活や彼女を取り巻く人々との日常エピソードを通じて描かれ、そこに「島民より猫が多い島」などユニークで柔らかなエピソードを交えて繰り返されることで、読者が日常に潜む小さな喜びや切なさを発見できるという点も共感の背景です。
このように『ぺろりん日記』は、鹿目凛の等身大の自分を映し出し、ネガティブな感情を含む日常のリアルを包み隠さずに描くことが、それを読む人々の心の支えや共感を呼ぶ理由となっています。彼女の柔らかなイラストと、時にシニカル、時に温かな視点が融合する作品は、単なるエンターテインメントの枠を超え、多くの若者の心に響き続けています。