画業10周年を祝う圧巻の原画展 板垣巴留の世界が寺田倉庫に降臨
東京の倉庫街に、異形の獣たちが息づく創造の森が広がる。漫画家・板垣巴留の画業10周年を記念した初の大規模原画展「板垣巴留展 ~「BEASTARS」「SANDA」から「タイカの理性」まで パルの創造の世界~」が、2026年3月7日(土)から3月29日(日)まで、東京・寺田倉庫G3-6Fで開催される。この展覧会は、板垣氏の代表作を通じて描かれる人間の理性と本能の狭間を、原画の圧倒的な熱量で体感できる貴重な機会だ。
板垣巴留は、2016年にデビューした若き天才漫画家。デビュー作『BEASTARS』で一躍注目を浴び、肉食獣と草食獣が共存する学園を舞台に、愛と欲望、差別と共生を鋭く抉り出す物語で世界的なファンを獲得した。Netflixでのアニメ化もされ、国際的に評価を高めたこの作品は、単なる動物寓話ではなく、人間社会の闇を映す鏡として機能する。続いて2021年に連載開始した『SANDA』では、砂漠のような荒廃した世界で繰り広げられるサバイバル劇が展開。異形の存在たちが織りなす混沌は、読者の心を掴んで離さない。そして最新作『タイカの理性』は、タイカという謎めいた存在を通じて、理性の限界を探る野心作。板垣氏の作風は一貫して、動物や異形の姿を借りて人間の深層心理を描き出す点にあり、その独自の世界観は「パルの創造の世界」と称されるに相応しい。
今回の展覧会は、そんな10年間の軌跡を凝縮した初の大型企画。寺田倉庫G3-6Fという広大な空間を活用し、原画を中心に据えた展示構成が魅力だ。入場者はまず、モーションコミック映像で表現されたオープニング映像に迎えられる。これはTVCMとしても放映されるもので、板垣作品のダイナミックな世界観を立体的に蘇らせる。展示ゾーンでは、『BEASTARS』の象徴的なシーンから、レゴシとハルが抱く禁断の想い、肉食の本能が爆発する緊張感あふれる原画が並ぶ。繊細な線の一本一本に宿る感情の揺らぎは、印刷物では味わえない生の迫力を放つ。
さらに、『SANDA』の荒涼とした砂漠風景と、そこで蠢く人間たちの狂気が、巨大パネルで再現される。異形のキャラクターたちが織りなすアクションシーンは、ページを超えたスケール感で観客を圧倒。最新作『タイカの理性』のコーナーでは、未公開原画を含む特別展示が予定されており、連載中の作品をリアルタイムで追うファンにとっては垂涎の機会だ。各作品の展示は時系列に沿いつつ、テーマごとにクロスオーバーする構成で、板垣氏の進化を俯瞰できる。例えば、すべての作品に共通する「理性と本能の対立」を象徴するインスタレーションが会場を貫き、来場者が自身の内面と対峙するような没入感を提供する。
開催日程は3月7日(土)から3月29日(日)まで、全23日間。土日は混雑が予想されるため、日時指定対象日として3月7日(土)と8日(日)が設けられている。また、3月14日(土)は16:00閉場となるため、注意が必要だ。入場料は通常券が税込2,200円で、前売券はチケットぴあにて3月6日まで販売中。学生割引や団体券も用意され、幅広い層がアクセスしやすい。寺田倉庫の立地は、品川駅からアクセス良好で、倉庫のインダストリアルな雰囲気が展覧会のテーマとマッチ。周辺にはカフェやショップも充実しており、一日中楽しめるスポットだ。
板垣巴留の原画は、単なるイラストではなく、生き物のような息吹を感じさせる。ペン先から迸る線は、獣の牙のように鋭く、人間の微かな震えを捉える繊細さを持つ。10周年の節目に開かれるこの展覧会は、ファンにとっては聖地巡礼のような体験。『BEASTARS』の熱狂を知る世代から、『タイカの理性』で新たに魅了された若手まで、世代を超えた共感を呼ぶだろう。会場では限定グッズの販売も予定され、原画集やアクリルスタンド、さらにはコラボイラスト入りTシャツなどがラインナップ。SNS映えするフォトスポットも満載で、来場者の投稿が展覧会の盛り上がりを後押しする。
この展覧会を通じて、板垣巴留の創造世界はさらに広がる。動物の仮面の下に隠された人間の真実を、原画の生々しいタッチで直視する旅。理性が揺らぐ瞬間を、寺田倉庫で体感せよ。画業10周年のマイルストーンとして、永遠に記憶に残る一展となるに違いない。(約1520文字)



