水木しげるの妖怪ワールドへ!静岡市美術館で「百鬼夜行展」が華々しくスタート
静岡市美術館で、妖怪漫画の巨匠・水木しげるの魅力を存分に味わえる「水木しげる 百鬼夜行展」が2月8日に開幕した。妖怪好きならずとも引き込まれる、ユーモアと恐怖が交錯する幻想世界が、静岡の地に蘇る一大イベントだ。会期は3月15日までで、連日多くの来場者が押し寄せ、開幕初日から行列ができるほどの盛況ぶり。静岡市清水区に位置する同美術館は、水木しげるの故郷・鳥取県境港市とのつながりを活かし、過去最大規模のコレクションを展示。妖怪の多様な表情を通じて、現代社会に潜む「不思議」を問いかける展覧会となっている。
水木しげる(1922-2015)は、『ゲゲゲの鬼太郎』をはじめ、数々の名作で日本妖怪文化を世界に広めた漫画家。戦中戦後の過酷な体験から生まれた独特の妖怪観が、今回の展覧会の核を成す。タイトル「百鬼夜行展」は、水木作品の代名詞である「百鬼夜行」を冠し、河童、天狗、雪女、ろくろ首など、数百体の妖怪が一堂に会する豪華布陣。展示室に入ると、まず目を奪われるのは巨大な「ぬりかべ」の立体造形。高さ3メートルを超えるその姿は、来場者を圧倒し、思わず笑いがこぼれる。隣接するゾーンでは、水木の原画がずらり。『鬼太郎』シリーズの名シーン、例えばねずみ男が悪だくみを巡らす場面や、目玉おやじのコミカルな表情が、細密な筆致で描かれている。これらの原画は、水木しげる記念館からの貸出品を中心に、約200点が集結。普段は境港で見られる貴重な作品が多く、静岡での機会はまさに一期一会だ。
展覧会は全5つのセクションに分かれ、妖怪の生態を深掘りする構成が秀逸。第1部「妖怪図鑑」では、水木独自の『妖怪事典』に基づくイラストが並び、一反木綿や座敷童子などのマイナー妖怪も登場。解説パネルには、水木のエッセイ抜粋が添えられ、「妖怪は人間の心の鏡」との言葉が印象的だ。第2部「百鬼夜行の宴」では、暗闇に浮かぶ提灯の灯りの中で妖怪たちが行進するインスタレーション。プロジェクションマッピングを活用し、妖怪が動き出す様子はまるで生きているよう。子供連れの家族が歓声を上げ、SNS映え抜群のスポットとなっている。第3部は「鬼太郎ワールド」で、原作コミックスの複製版やアニメセル画が展示され、懐かしさと新鮮さを同時に味わえる。ねこ娘の妖艶な姿や、鬼太郎の拳銃が光るシーンは、世代を超えたファンに刺さる。
さらに注目は第4部の「水木しげるの人生と妖怪」。太平洋戦争で手足を失う負傷を負った水木が、パプアニューギニアのジャングルで出会った「本物の妖怪体験」を振り返るコーナーだ。手記やスケッチが公開され、単なるフィクションではなく、水木の人生哲学が妖怪に息づいていることがわかる。最後の第5部「現代の妖怪」では、現代アーティストによる水木オマージュ作品をフィーチャー。デジタルアートやコラボグッズが並び、妖怪文化の進化を感じさせる。ミュージアムショップでは、限定のねずみ男フィギュアや妖怪お守りが飛ぶように売れ、開幕週末だけで完売品も続出だ。
この展覧会の意義は、単なる回顧展にとどまらない。水木しげる没後10年を目前に控え、妖怪ブームの再燃を促す狙いがある。静岡市美術館の学芸員・佐藤美紀氏は開会式で、「水木先生の妖怪は、怖いだけじゃない。人間の弱さや優しさを映す存在です。コロナ禍を経た今、日常の闇に光を当てるメッセージが響くはず」と語った。実際、来場者からは「ストレス社会で妖怪に癒される」「子供に日本の伝統を伝えられた」との声が相次ぐ。入場者数は初週で1万人を突破し、土日は事前予約必須の状況。料金は大人1,200円、大学生800円、小中学生500円で、65歳以上は1,000円の割引あり。車いす利用者向けのバリアフリー対応も万全だ。
静岡市美術館は、JR静岡駅からバスで約30分、または清水駅から徒歩15分の好立地。周辺の清水港や三保の松原と組み合わせた観光ルートもおすすめだ。展覧会は水木しげるロードの精神を継承し、妖怪ファンだけでなく、アート愛好家やファミリー層に広くアピール。会期末には関連イベントとして、水木しげる記念館館長によるトークショーも予定されている。水木しげるの妖怪ワールドは、時を超えて私たちを魅了し続ける。静岡でしか味わえないこの「百鬼夜行」に、ぜひ足を運んでほしい。
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