リアルとバーチャルが融合する「マチ・アソビVol.29」──イベントの今を徹底レポート
徳島市街をアニメ・ゲームカルチャーで埋め尽くす複合エンターテインメントイベント「マチ・アソビ(町あそび)Vol.29」が、2025年10月18日(土)~19日(日)の2日間、市内各所で盛大に開催された。本イベントは、眉山山頂、新町川沿い「しんまちボードウォーク」、阿波おどり会館、ポッポ街商店街、徳島駅周辺といった徳島のシンボル的な場所を会場とし、地元企業や人気声優、クリエイター、ファンが一堂に会する年に一度の大規模セレモニーである。今回は、特に「痛車グランプリ」「2DアクションゲームPIXEL DASH: Toast of Destinyの先行試遊」「VTuberライブ」の3つに焦点を当て、最新会場レポートをお伝えする。
痛車が街を彩る「マチ・アソビ痛車グランプリ」
イベント初日から会場を賑わせたのが、徳島こども交通公園で開催された「マチ・アソビ痛車グランプリ」。両日合計で20台以上の“痛車”が大集結し、来場者の目を釘付けにした。痛車とは、アニメやゲームなどのキャラクターやロゴを車体にラッピングした“走るアート”で、各車の前に車種やスペック、カスタム内容が詳細に記されたサマリーが展示されていたのが特徴的だ。
注目車両のひとつが、ヤマハ・YZF-R25の『アイカツ!』仕様。バイク全体がパステルカラーで彩られ、車体には人気キャラクターが躍動的に描かれている。また、ハルさん所有のトヨタ・ヴィッツは『楽園追放』仕様で、ワイパーに同作のステッカーが挟まれ、フロントやサイド、リアにキャラクターデザインが施された。従来のデザイン性だけでなく、実際の走行性能や改造意図など、運転席周りもレース仕様にカスタムされた車両もあり、車単体ではなく、クルマへの“愛”と“遊び心”を感じさせたのもイベントの醍醐味だった。
グランプリ会場では、来場者による人気投票や写真撮影スポットも設置。ファン同士の会話が弾み、SNSへの投稿も活発に行われるなど、単なる展示に留まらない交流の場となっていた。
新作ゲーム「PIXEL DASH: Toast of Destiny」が徳島で先行プレイ
ポッポ街商店街の一角では、発売を控えた2Dドット絵アクションゲーム「PIXEL DASH: Toast of Destiny」の先行試遊会が実施された。本作は、パンをくわえて走る女子高生が主人公の横スクロールアクションで、アニメーションとゲームが融合した新感覚タイトル。ディスプレイ上で流れるアニメパートとプレイヤーのアクションが連動し、ストーリーを進めていく構成だ。
実際にプレイした来場者からは、「グラフィックが可愛くて親しみやすい」「スクロールアクションの爽快感とアニメのつながりが新鮮」「初心者にも難易度調整が効いていて遊びやすい」といった声が上がった。また、開発スタッフが直接ブースに常駐し、プレイヤーの反応をヒアリングするなど、開発現場とユーザーが身近に触れ合う貴重な機会も設けられていた。
本作はすでにSteamでのリリースも決定しており、今回のマチ・アソビでの先行体験は、今後の正式リリースに向けたプロモーションとしても大きな意味を持った。
VTuberライブが盛況──ステージならではの“臨場感”と“驚き”
両国橋西公園ステージでは、ライブ配信だけでなくリアル会場でVTuberライブが実施された。特に注目を集めたのが、逢瀬アキラさんと民安ともえさんのリライブ(リアル×バーチャルライブ)。逢瀬さんは15時から、民安さんは16時からの公演。ステージ後方のスクリーンにはVTuberの3Dアバターが映し出され、その姿がバーチャルとリアルを自在に行き来する演出が話題となった。
民安さんのライブでは、新しい3Dモデルを初披露。当初はパネルの小ささに「物足りない」という声もあったが、実際のライブが始まるとアバターがスクリーンから飛び出し、客席との距離感を縮める演出に会場は大いに盛り上がった。ライブの合間にはMCで観客とトークを交わすなど、従来の「配信ライブ」とは一線を画す体験ができたのも大きなポイントだった。
また、会場内には「sweet wagen」による抹茶パインクレープや季節限定スイーツも販売されており、観客はライブの合間のおやつタイムも楽しめた。多種多様なテイストが楽しめるフルーツクレープは、SNSでも「今年も最高!」と絶賛の声が続出した。
マチ・アソビが体現する“徳島の祭り”としての進化
今回のマチ・アソビVol.29では、オフィシャルサポーター制度の導入や運営体制の見直しなど、持続可能なイベントを目指す新たな取り組みも本格化。従来の「展示」「トーク」「ライブ」に加え、「体験」「交流」「新たな発見」がより強く際立った2日間だった。
各会場では、アニメ・ゲーム・コスプレ・クルマ・VTuber・音楽・グルメと、ジャンルを超えたイベントが同時多発的に開催され、来場者はもちろん、地元住民や関係者も一緒になって“徳島の祭り”を盛り上げていた。とりわけ、ファン同士が直接交流できる空間設計や、新作クリエイターとユーザーが気軽に対話できる環境は、オンライン時代だからこその“リアル体験”を体感できる稀有なイベントといえる。
これからもマチ・アソビは、徳島の街を舞台にした“エンタメの実験場”として進化を続けていく。次回開催にも大きな期待がかかる。