伊藤詩織さん会見中止、その理由に注目集まる
2025年2月20日、日本外国特派員協会で予定されていたジャーナリストの伊藤詩織さんの会見が中止となりました。関係者によると、体調不良が理由で、ドクターストップがかかったためです。この会見は、伊藤さんが監督したドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」をめぐるもので、同映画は第97回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、注目を集めています。
背景
「Black Box Diaries」は、伊藤さんが15年4月に元TBS記者の男性から受けた性的暴行被害を調査する様子を9年かけて記録した作品です。この映画は、伊藤さんの被害体験を直接描くものではなく、事件後の社会的影響や彼女の闘いを描いたものです。映画は、2024年1月のサンダンス映画祭で初上映されて以来、50以上の映画祭で上映され、多くの賞を受賞しています。
会見中止の理由
伊藤さんは、会見中止について日本外国特派員協会を通じて文書で謝罪しました。「せっかくの機会にもかかわらず、体調不良によるドクターストップで出席できなくなってしまいました。申し訳ございません」と述べています。この文書では、映画制作の経緯や、関係者への謝罪も含まれています。
映画「Black Box Diaries」に関する議論
「Black Box Diaries」は、倫理的な問題も指摘されています。元弁護団は、被害現場とされるホテルの防犯カメラ映像が本人やホテルの許諾なしに使用されたと指摘しています。また、海外では公益通報者にあたる捜査官やタクシー運転手、弁護士に関する無断録音や無断録画が行われたとされています。
伊藤さんは、これらの指摘についても謝罪し、特に西廣陽子弁護士との電話の音声を無断で使用したことを心からお詫びしています。また、映画ではホテルのオリジナル映像の一部を使用していますが、これは伊藤さんの同意のない性暴力事件の唯一の視覚的証拠であるためです。
代理人からのコメント
伊藤さんの代理人は、防犯カメラ映像の利用について、ホテルから提供された映像をCGで加工し、スクリーン上でオリジナルではないことを明記したと説明しています。また、新しいバージョンでは、無許可使用で問題となった第三者の映像や音声を適切に処理するとしています。
伊藤詩織さんの現在
伊藤さんは、SNS上では元気な姿を見せることが多いですが、実際には被害救済から程遠い状態にあり続けています。彼女は、映画を通じて日本への「ラブレター」として、性犯罪被害者への理解を広めたいと考えています。
このように、伊藤詩織さんの会見中止は、彼女の体調不良が直接的な理由ですが、映画「Black Box Diaries」に関する議論や倫理的懸念が背景にあることが注目されています。