ソニーは2025年1月に開催されたCES 2025で「Creative Entertainment Vision」を発表し、新技術やエンタメ領域の最新取り組みを紹介した。この発表はエンタメ業界に大きな波をもたらすものであり、ソニーのエンタメ事業の新たな展開を示すものとなった。
3DCG制作ソリューション『XYN(ジン)』の発表
ソニーはCES 2025で3DCG制作ソリューション『XYN(ジン)』を発表した。このツールはミラーレスカメラで撮影した実在する物体や空間を高品質な3DCGに変換することができる。さらに、アプリ「XYN Motion Studio」ではモーションデータを簡単に編集でき、補完機能も備わっている。これにより、映像制作の効率化と品質向上が期待される。
アニメ事業の新展開
ソニーのアニメ事業を支えるアニプレックスの岩上社長とCrunchyrollのプリニ社長が登壇し、映画「鬼滅の刃 無限城編」の最新映像を紹介した。また、アニプレックス、Crunchyroll、ソニーピクチャーズが共同で世界配給を行うことが発表された。さらに、Crunchyrollはゲーム「Ghost of Tsushima」をアニプレックスと共同でアニメ化することを発表し、ソニーが自社IPのアニメ化展開を開始することを宣言した。
電子コミックサービスの参入
ソニーはCrunchyrollを通じて電子コミックサービス「Crunchyroll manga」に参入することを発表した。これにより、ソニーは電子コミック市場に新たなプレーヤーとして登場することになる。講談社が「K MANGA」で海外展開に力を入れている中で、ソニーが大手マンガ出版社と競争する姿勢を見せた。
ゲームの映画化
ソニー・ピクチャーズとプレイステーションプロダクションズはゲーム「Helldivers2」の映画化を発表し、プレイステーションのホラーゲーム初の映画「UNTIL DAWN」を発表した。これにより、ソニーがエンタメやIPビジネスに力を入れていることが明らかになった。
体験型エンタメの登場
CES 2025では体験型エンタメの登場が注目された。テレビ朝日が推理力を競う祭典『AGASA』の開催を行うNO MOREやソニー・クリエイティブプロダクツが「鬼滅の刃」の大規模展覧会などが紹介された。ディズニーのイマーシブコンテンツも同様に体験型エンタメの例として挙げられる。
伊藤忠商事のエンタメ施設への出資
伊藤忠商事はシンガポールのNEONに子会社化し、日本法人を設立した。NEONは大手映画製作会社の映画から文化遺産まで様々なコンテンツのエキシビションのライセンスを保有しており、伊藤忠商事はこれを通じてエンタメ市場に進出する。NEONの日本法人は「ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」を2025年春に公開予定である。
これらの発表から、ソニーがエンタメやIPビジネスに力を入れていることが明らかになった。また、体験型エンタメの市場が拡大し、多くの企業がこの分野に進出していることがわかる。伊藤忠商事のNEONへの出資もこの流れの一環であり、エンタメ市場の新たな展開が期待される。