メガバンク主導のステーブルコイン革命 株債券取引が24時間即時決済へ
日本の金融市場が、メガバンク主導のステーブルコインによって劇的に変革を遂げようとしている。野村ホールディングスと大和証券グループ本社が、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクと連携し、ステーブルコインを活用した株式や債券の即時決済枠組みを構築する計画が、急速に具体化している。この取り組みは、従来の証券取引システムの遅延を解消し、24時間365日稼働の次世代インフラを実現する可能性を秘めている。
このプロジェクトの核心は、3メガバンクが共同発行する日本円連動型ステーブルコインだ。金融庁は昨年11月、この取り組みの実証実験を支援することを発表しており、信頼性の高い基盤が整いつつある。発行基盤には、三菱UFJ信託銀行の子会社Progmat(プログマ)が活用され、信託型の発行方式を採用。ステーブルコインは法定通貨に裏付けられた安定性を保ちつつ、ブロックチェーン上で株式、国債、社債、投資信託、ETF、上場投資信託、MMFなどの資産を取引・決済可能にする。これにより、約定から受渡しまでの数日間のタイムラグが即時に短縮され、夜間や休日取引も可能となる。
実証実験のスケジュールは急ピッチだ。両証券大手は2月中にも金融庁へ届け出を予定し、数年内の実用化を目指す。実験では、株式をデジタル証券化し、ブロックチェーン上で売買契約と資金決済を同時完了させる。参加金融機関は今後拡大する見込みで、野村と大和だけでなく、SMBC日興証券なども連携を深めている。この専用プラットフォームは、トークン化株式やRWA(Real World Assets)連動型金融商品を対象とし、人間だけでなくAIによる自動取引も視野に入れた設計。グローバルな規制準拠を前提に、プログラマブルな機能で多様なユースケースを展開する。
背景には、日本金融のデジタル化加速がある。ステーブルコインの活用は、KPMGの分析で指摘されるように、銀行間仲介を省略し国境越え決済コストを最大99%削減する効果が期待される。三菱商事も3メガバンクと協力し、貿易決済の実証を進めており、民間主導の動きが連動。日本銀行のパイロット実験や、DCJPYネットワークの商用拡大も後押しする。ゆうちょ銀行は2026年度中にトークン化預金サービスを計画し、約120兆円の預金残高をデジタル資産化。GMOあおぞらネット銀行らの取り組みと合わせ、小売POS連携による日常生活浸透も現実味を帯びる。
一方、競争軸も活発化。SBIホールディングスとスターテイルは昨年12月、日本円建てステーブルコインの共同開発でMoUを締結。2026年度第1四半期(4~6月)ローンチを目指し、信託会社による「3号電子決済手段」としてグローバル展開を設計。3メガの「協調型」インフラに対し、SBIの「競争型」エコシステムが並走し、2026年を実装元年に押し上げる。
この変革のインパクトは計り知れない。従来のT+2決済(取引日から2営業日後)が即時化すれば、流動性向上とリスク低減が図られ、投資家はリアルタイムで資産運用可能に。Progmatの技術は企業間決済から証券取引へ拡大し、ブロックチェーン基盤の金融エコシステムを構築。規制明確化が進む中、大手証券の暗号資産事業本格化(野村は2026年交換業参入、2028年ETF解禁見据え)も追い風だ。
メガバンク主導のステーブルコインは、日本金融の国際競争力を強化する鍵となる。実験成功で、株債券市場は常時稼働のデジタルマーケットへ進化。投資家、企業、国民生活が一体化した新時代が幕を開ける。(約1480文字)



