大和証券とSMBC日興証券、暗号資産市場への果敢な挑戦 専門部署新設でETF販売へ本腰
日本の金融市場に新たな風が吹き始めている。大手証券会社が、暗号資産(仮想通貨)ビジネスへの本格参入を加速させている中、特に大和証券グループとSMBC日興証券の動きが注目を集めている。これまで慎重姿勢を崩さなかった伝統的な金融機関が、規制緩和の追い風を背景に、機関投資家向け取引やETF販売を視野に体制を急ピッチで整えているのだ。
この挑戦の象徴的な一手が、SMBC日興証券の「DeFiテクノロジー部」新設である。2026年2月1日付で発足したこの専門部署は、暗号資産交換業への参入を検討するだけでなく、将来的な暗号資産ETFの顧客販売に向けた準備を担う。DeFi(分散型金融)技術を活用した新規事業開発が主眼で、ステーブルコインを活用した株式や債券の決済実験にも連携して取り組む方針だ。三菱UFJ銀行をはじめとするメガバンクとの共同検証も進めており、暗号資産を「投機商品」から「正規の金融インフラ」へ転換する流れを体現している。
大和証券グループも負けじと動き出している。同グループ本社は、暗号資産交換業への参入を内部で積極的に議論中だ。すでに暗号資産を活用した新ビジネスを展開しており、2028年の国内暗号資産ETF解禁を見据え、グループ内でETFの組成・販売体制を構築する検討を進めている。機関投資家向けの取引サービスを中心に、年金基金や運用会社といったプロ投資家をターゲットに据えたサービス提供が想定される。これにより、個人向け取引所とは一線を画す、高度なカストディ(資産保管)やリスク管理を備えたプラットフォームを目指す。
この両社の挑戦を後押しするのは、金融庁の大胆な規制改革だ。2026年には暗号資産を金融商品取引法(金商法)の対象に組み込む法改正案を国会に提出する計画で、これにより銀行グループ傘下での投資目的保有・売買が可能になる。さらには2028年の現物ETF解禁が視野に入り、株式や投資信託と同等の扱いが現実味を帯びてきた。投資家保護のための情報開示ルールも強化され、金融機関の参入障壁が劇的に低下する見込みだ。
背景には、グローバルな暗号資産市場の急成長がある。ビットコインやイーサリアムを筆頭に時価総額は数兆ドル規模に膨張し、機関投資家の資金流入が加速。野村ホールディングス傘下のレーザー・デジタルが2026年中に交換業登録を申請するなど、競合他社も先陣を切っている。大和証券とSMBC日興証券は、この波に乗り遅れまいと、専門人材の確保やシステム投資を急ぐ。SMBC日興の新部署では、ブロックチェーン技術者を中心に数十名の体制を構築し、セキュリティ対策やコンプライアンス体制を万全に整える方針だ。
両社の強みは、既存の顧客基盤にある。大和証券は富裕層や法人投資家に強いネットワークを持ち、SMBC日興は三井住友フィナンシャルグループのバックボーンを活かした銀行連携が武器。ETF解禁後、年金マネーや運用会社の巨額資金が暗号資産市場に流入すれば、市場規模は爆発的に拡大するだろう。例えば、ステーブルコイン決済の実証実験では、2月にも株式決済のPoC(概念実証)が開始予定で、取引効率の向上とコスト削減が期待される。
一方で課題も少なくない。ハッキングリスクや価格変動の激しさをどう管理するか、投資家教育の徹底が求められる。金融庁の法改正がスムーズに進むかどうかも鍵だ。それでも、両社は「暗号資産を金融の未来」と位置づけ、積極投資を継続。SMBC日興の新部署責任者は社内向けに「2028年をターニングポイントに」と宣言したという。
この動きは、日本の暗号資産市場全体に活気を呼び込む。大和証券とSMBC日興証券の挑戦は、伝統金融とWeb3の融合を象徴し、新たな投資機会を一般投資家にももたらすだろう。規制環境の成熟とともに、2026年は「暗号資産金融元年」として歴史に刻まれるに違いない。(約1520文字)



