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シリコンウェーハ市場、2025年に回復基調へ

2025年、世界のシリコンウェーハ市場が回復基調へと転じる──これは2023年から続いた長期の減少傾向に終止符を打つ、半導体産業にとって極めて重要な転換点である。SEMIが2025年10月末に発表した最新調査によると、2025年のシリコンウェーハ出荷面積は前年比5.4%増の128億2400万平方インチに達する見通しとなった。これは2023年の大幅減(前年比-14.3%)、さらに2024年のマイナス維持(-2.5%)を経て、ようやく需要の底打ちが確認されるシグナルである。

半導体産業の回復とAI需要
今回の市場回復の最大の原動力となっているのは、「AI関連製品の旺盛な需要」である。AI処理向けの最先端ロジックデバイスや、膨大なデータ処理を必要とするデータセンター向けメモリ(HBM=広帯域メモリ)などがシリコンウェーハの需要を強く牽引。例えばAIチップやサーバー、クラウド基盤、さらには次世代スマートフォンや自動運転車対応のSoCなどが典型例だ。これら高度なデバイスは、従来以上に大口径かつ高品質なエピタキシャルウェーハやポリッシュドウェーハを大量に必要とする。2025年以降もこのトレンドは続き、2028年には154億8500万平方インチと過去最高を更新する見通しである。

2025年市場の特徴と需給構造
2025年のシリコンウェーハ市場では、下記の特徴が顕著となる。

– エッジAIとデータセンター需要のダブル牽引

データセンター用途に加え、IoTやスマート家電、産業用ロボット等の「エッジサイド」でもAI処理が必須となっており、シリコン需要は裾野拡大が続く。

– 高付加価値ウェーハの割合拡大

中でも「エピタキシャルウェーハ(表面に高品質な単結晶層を成長させた基板)」や「高精度ポリッシュドウェーハ」の出荷比率が上昇。これによりウェーハ生産ラインの高度化投資も促されている。

– AI以外の分野でも緩やかな回復

量産マイコンやパワー半導体用も自動車、家電、産業機械等の分野で需要が復調しつつあり、全体の底上げに寄与している。

– 価格競争から品質・安定供給重視へ

通信障害や地政学リスクへの備えが求められたことで、大手デバイスメーカーによる複数サプライヤー確保やローカル製造シフトが進み、需要の急激な波に対するバッファ機能が強化された。

今後のシリコンウェーハ市場の課題と展望
復調の兆しを迎えたシリコンウェーハ市場だが、今後の高成長を維持するためにはいくつかの重要課題が残されている。

– 原材料供給やエネルギーコストの上昇

サプライチェーンの再構築が一巡したとはいえ、原材料の価格高騰や電力コスト上昇は収益性を圧迫する大きな要素となっている。また、環境規制強化への対応やリサイクルウェーハの活用も喫緊の課題だ。

– 技術進化と設備投資の両立

300mm、さらには450mmへの大口径化や、次世代デバイス向け超高純度加工の実現・量産化など大量投資が必要である一方、短期需給のバランスを欠くリスクもある。

– AI偏重へのリスク

2025~28年のAI関連市場の成長がもし急ブレーキすれば、需給トレンドも再び悪化しうるため、多角的な需要創出と応用先の拡大が求められる。

終わりに:回復トレンドを迎える2025年は、単なる「戻り」ではなく、AI・デジタル社会のインフラ基盤としてのシリコンウェーハ産業が構造的に再強化される時期といえる。その成長はAIテクノロジーの進化や需要構造の変化と歩調を合わせ、世界の産業地図の中でいっそう重要度を増していくだろう。

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