1999年に初代PlayStation向けとして発売され、その希少性から中古市場でプレミア価格が付くほどコアな人気を集めてきた『ミラノのアルバイトこれくしょん』が、2025年12月9日に現行の主要プラットフォーム向けへ移植されることが発表された。本作はPC(Steam、GOG、Windows Store)、PS5・PS4、Xbox Series X|S・Xbox One、そしてNintendo Switchに対応し、さらにNintendo Switch 2版が後日無料アップグレード対応で提供される予定となっている。
この移植の背景には、レトロゲーム人気の高まりと、過去の名作を現代のプレイヤーに届けたいというゲームコミュニティの熱意がある。本作を手掛けるパブリッシャーはXSEED Games、移植開発はImplicit Conversionsが担当。翻訳はHilltopが公式プロジェクトとして行い、なんと初の英語ボイスも追加。26年の時を経て、世界初のグローバルリリースを迎えることとなった。
ゲーム内容と魅力
『ミラノのアルバイトこれくしょん』は、11歳の少女「ミラノ」が主人公。病院に入院することとなった母親に代わり、叔父の家でひと夏を過ごすこととなったミラノ。しかし、叔父は旅行で不在、急遽一人暮らしを体験することになる。この日常的であり非日常的な設定がプレイヤーの心をつかみ、ミラノと共に過ごす40日間には、アルバイトという名の多彩なミニゲームが待ち受けている。
・ピザの配達
・看護士として患者の治療
・果物キャッチ
・空飛ぶ牛の乳搾り など
計8種類のバリエーション豊かなミニゲームが収録されており、アルバイトを重ねることで「ちしき」(知識)ステータスがアップ。これにより仕事のレベルが上がり、収入も増加していくというゲーム性が展開される。
ミラノが稼いだお金は家具購入や部屋の模様替えに使え、プレイヤー自身の「自分だけの部屋」づくりが楽しめる点も大きな魅力。夜は猫と寄り添い星空を眺めるなど、生活の温かい風景が随所に描かれる。ウエストンビットエンタテインメントの手による精緻なドット絵と、「かわいい」世界観は今もカルト的支持を集めている。
移植版での主な新要素
今回の移植では以下の点が注目される。
・ロード時間の大幅短縮
・クイックセーブ機能
・巻き戻し機能の追加
・日本語・英語両対応テキストおよびボイス
・各プラットフォームでの快適な操作性
これらにより、オリジナル版の体験を損なうことなく、プレイのストレスを減らし、現代ユーザーに遊びやすくアップデートされている。
またSteamでの販売価格は約15ドル程度の見込みで、過去の入手困難性からは考えられないほど敷居が低くなっている。
グローバル展開とその意義
『ミラノのアルバイトこれくしょん』は発売当初、日本国内だけで展開されており、知る人ぞ知る隠れた名作として語り継がれてきた。それが海外ローカライズと英語ボイス追加によって初めて世界に向けて解放される。Hilltopによる丁寧なローカライズは、海外のレトロゲームファン層にも刺さることは必至だ。特に「ぼくのなつやすみ」シリーズなど日本ならではの日常シミュレーション系ゲームの文脈を踏襲する本作は、インディーゲームコミュニティで再注目される可能性も高い。
最後に
『ミラノのアルバイトこれくしょん』の現行機移植は、過去の名作が現代の技術とグローバル化によって改めて輝きを増す事例となった。癒し系でほのぼのとした雰囲気、手軽に楽しめるミニゲーム、細やかな生活描写、そして部屋のカスタマイズ性――26年の時を超え、今なお新鮮な魅力を持つこのタイトルが、より多くの人に届くことが期待されている。懐かしさと新しさを兼ね備えた一作として、2025年末はまた新たな「小さな夏休み」の思い出が世界中に生まれることになるだろう。



