「TwitchCon2025」:記念すべき10周年、デュアルフォーマット配信がもたらす新時代
2025年10月、カリフォルニア州サンディエゴにてTwitchコミュニティ最大の祭典「TwitchCon 2025」が開催された。10周年という記念すべき節目を迎えた今年のTwitchConには、世界中からおよそ2万3000人の参加者が集い、その熱狂と期待の中で、Twitchが配信体験の進化を告げる大きな新機能「デュアルフォーマット配信」を正式発表した。
■ デュアルフォーマット配信とは何か
「デュアルフォーマット配信」とは、横画面と縦画面という異なる画面レイアウトを、配信者が同時にライブ配信できる新たなストリーム技術である。従来、Twitchでは横画面(16:9)がスタンダードだったが、近年スマートフォンやタブレット視聴が急速に増加し、TikTokやInstagram Reelsなど縦型動画の台頭によって、縦画面(9:16)需要が高まっていた。
この新機能により、配信者はPCやゲーム画面の横型配信と同時に、スマホユーザー向けの縦型映像を並行して送り出せる。視聴者は自分の好みや視聴端末に最適なフォーマットを選んで視聴することができ、「好きな配信を、いつでもどこでも、最も見やすい形で楽しめる」時代が到来したと言える。
■ 配信体験をどう変えるのか
Twitchで人気のゲーム配信はもちろん、トーク系やリアルイベントでも、横画面のワイドさと縦画面の臨場感や親近感、SNS的なライブ感など、それぞれの強みを活かした画作りがいよいよ可能となる。たとえば、
– ゲーム実況は従来どおり全画面で展開しつつ、縦配信側ではプレイヤーのリアルタイム反応や、ゲーム外の小ネタ、観客のコメントなどを強調表示。
– IRL(リアルライフ)カテゴリやコスプレ配信では、縦型のアップ映像で細かな表情や衣装ディテールを魅せつつ、横画面では会場全体の雰囲気まで伝える、といった新しい映像表現が実現できる。
また、今回の発表時点で「デュアルフォーマット配信」はベータ版として一部クリエイターに先行公開され、今後数ヶ月を目安に全ユーザーへ段階的な適用が予定されている。
■ 技術背景とTwitchの狙い
デュアルフォーマット配信の核となるのは「同一配信内容を異なるレイアウト・解像度でエンコードし、リアルタイムでユーザーに最適化して届ける」新しい配信パイプラインの導入だ。これにはストレージや帯域など大幅なサーバーリソースの拡充が不可欠であり、Twitchはいわゆるライブストリーミングのインフラ刷新へ大規模な投資を行った。
この施策により、
– 競合配信サービスとの差別化
– 若年層やアジア圏におけるスマートフォン視聴者の獲得
– 配信者のクリエイティブな表現支援とマネタイズ機会の拡大
といった、Twitchの今後10年を見据えた成長戦略が色濃く打ち出されている。
■ 今後の可能性と配信文化の展望
多くの配信者は「従来のPCメイン配信に加え、縦画面特化のインタラクションや短尺コンテンツを実験したい」「より多様なスポンサー展開や広告実装が期待できる」と、今回のリリースを歓迎している。また、Twitchは同時に「オートクリップ機能」(配信のハイライトを自動切り出し・投稿)なども発表し、配信からアーカイブ・SNS連携まで一貫した体験の強化にも注力している。
今やゲーム実況はもちろん、音楽、教育、雑談、イベント、ESportsに至るまで多彩なジャンルが拡大するTwitch。その「配信機能の進化」は、視聴スタイルやユーザー層すら再定義しつつある。10周年という大きな節目に生まれたデュアルフォーマット配信は、次世代のライブエンターテインメントの新常識となるだろう。



