俳優の阿部寛が、最新主演映画『俺ではない炎上』で久々に「惨めな男役」に挑戦し、大きな話題を呼んでいる。この作品は、SNS上で突然殺人犯に仕立て上げられ、社会からの激しいバッシングに晒される主人公・山縣泰介を描いたミステリーであり、阿部は山縣という苦境に立たされた男性をリアルかつ繊細に演じている。
阿部は今回の役について「ここ10年ぐらい経験していなかった、惨めな男を久々にやった」と語り、「これからどんどん惨めな役も増やしていきたい」と意欲を見せている。普段はどこか余裕ある大人の男性像を演じることが多い彼だが、今回は社会的に追い詰められ、孤独と不安の中で苦悩する姿をあえて選択し、演技の幅の広さを改めて示している。
作品の原作は浅倉秋成の同名ミステリー小説で、映画は彼が主人公の目線で描く現代のSNS社会の光と闇をテーマにしている。共演者の夏川結衣は阿部の人柄について「ぬくもりの人で、撮影中にスタッフや共演者にお餅を配るなど細かな気遣いを欠かさない」と称賛しており、また監督の山田篤宏も阿部を「スーパースターでありながら、自分のような新人にも真摯に向き合ってくれる」と感謝を述べている。これらから、阿部のプロフェッショナリズムと人間性が現場で高く評価されていることがうかがえる。
公開前日祭では、共演の芦田愛菜の激高シーンにも阿部が興味深く反応し、撮影現場での和やかな雰囲気と緻密な演技作りへのこだわりが伝えられた。阿部は撮影が12月中旬まで及んだ長期戦の中で、温かな気遣いを見せる一方、本作の社会性の高いテーマへ真剣に取り組んだことが感じられる。
『俺ではない炎上』は2025年9月26日より全国公開。SNSによる誹謗中傷や炎上問題を題材にした現代的なストーリーと、阿部寛の新境地となる役作りが注目され、公開前から大きな話題と期待を集めている。阿部の「惨めな男」という新しい挑戦は、彼のキャリアの中での重要な転機となり、多様な人間像を通じて観客に強い印象を残すことが期待されている。