イーサリアム(ETH)市場は2025年9月現在、高値圏での持ち合い相場が続いている。以下では、直近の取引レンジ、需給構造の変化、ETF動向、新たなイベント材料と「今後の展望」について解説する。
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高値圏レンジでの持ち合い相場
2025年9月中旬時点、イーサリアムは米国CPI発表後の乱高下をこなしつつ、4,300~4,650ドルの高値圏でレンジ相場を形成している。9月12日にかけて上値をトライしたものの、その後は一服し、主に4,500ドル前後での推移が目立つ。この背景には、米連邦準備制度理事会(FOMC)による政策金利の先行き不透明感や、経済指標発表を控えた投資家の様子見姿勢がある。
持ち合い相場(レンジ相場)では、明確なトレンドが出にくい一方で、新規の材料によってブレイクアウトのタイミングや方向性が左右されやすくなる。投資家心理は利食い(短期利益確定)と押し目買い(今後の上昇を期待した買い)の綱引き状態であり、方向感に欠ける流れが続いている。
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需給構造:売り圧力低下とETF流入
需給面では注目すべき2つのトピックがある。
– 1. 売り圧力の低下
イーサリアムの売り圧力は約半年ぶりの低水準に減少。チャート上は「カップ・アンド・ハンドル」型の強気パターンからハンドル部分をブレイクアウトしつつあり、今後「ブレイク」すれば目先は5,430ドルがターゲットとなる。売り手の減少は、短期保有組の利食い圧力が剥落した可能性を示唆する。
– 2. ETF・機関投資家による買い支え
現物イーサリアムETFへの資金流入が再び増加。機関投資家や企業による買いが売り圧力を吸収しており、ファンダメンタルズの下値支えにつながっている。加えて、イーサリアムを担保や資産として保有するニーズは引き続き強く、一部は再度ステーキング(預託)されるため、市場の流通枚数は減少傾向にある。
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今後の展望
短期的な見通し:イベント待ちの持ち合い継続
直近では、米FRBの利下げやインフレ指標発表、年内のETF追加資金流入観測など「イベント待ち」の地合いが維持されやすい。
4,489ドルや4,424ドル付近が強いサポートであり、4,213ドルを下回ると一時的な下落リスクが高まるが、下値では買い意欲が優勢となっている。
中長期の強気材料:イーサリアムETFと機関投資家需要
最大の好材料は、「イーサリアムETFの正式承認」への期待だ。2025年10月にもイーサリアムETFが追加承認される可能性が指摘されており、その場合、機関投資家からの大型資金流入・価格上昇に弾みがつく展開が想定される。また、アンステーキング(預け入れ資産の引き出し)増加に伴う一時的な売り圧力を、ETF購入や機関投資家が吸収してきた経緯も見逃せない。
テクニカルの重要な分岐点
– 上値抵抗:4,765ドル超えで5,430ドルへ
このネックラインを終値で突破できれば、カップ・アンド・ハンドル型ブレイクアウトが明確化し、年初来高値更新のシナリオが近づく。
– 下値:4,213ドル割れで調整リスク
このラインを明確に割り込むと、持ち合い相場は一時的に下方向へ向かう可能性がある。
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結論
イーサリアム市場は現在、米金融政策やETF動向など大きな外部イベントを前に高値圏での持ち合いが続いている。売り圧力の低下やETFを通じた機関投資家の資金流入など、ファンダメンタルズは明らかに強気で、今後外部材料次第でレンジブレイクのタイミングを迎えるだろう。特に、2025年10月のETF追加承認やフロー変化には引き続き高い注目が集まっている。