視聴者が作る、未来のグリッド――JAF公認e-MotorsportLeagueUNIZONE 2025に導入される「視聴者選出グリッド順」の革新性に迫る
2025年、大きな転換期を迎えた日本のeモータースポーツ界。その象徴的な出来事の一つが、「JAF公認e-MotorsportLeagueUNIZONE 2025」への“視聴者選出グリッド順”の正式採用である。これまでも斬新な演出やテクノロジー面で注目を集めてきたUNIZONEが、さらに一歩先を行くeスポーツならではの画期的な大会設計を打ち出したことで、モータースポーツファン・eスポーツファン双方が熱い視線を向けている。本稿では、この新設計の仕組みと導入の背景、さらには予想される競技的・社会的インパクトについて詳しく解説する。
従来のモータースポーツにおけるグリッド順決定とは
伝統的なモータースポーツでは、レーススタート時のグリッド(スターティングポジション)順は、通常「予選タイムアタック」により決定される。ここでドライバーやレーシングチームは、公平な条件下でベストタイムを競う。しかし、この方式には“実力のみを反映する”がゆえに、ファンの関与やドラマ性が制限されがちという側面もあった。
UNIZONE流 新グリッド順決定システムの中核
2025年のJAF公認e-MotorsportLeagueUNIZONEでは、特定レースのグリッド順(※全レースではなく、目玉イベントなど対象レース限定で導入される)は、主催者から招待されたドライバーごとの「ファン投票」「リアルタイムアンケート」によって直接決定される。システムの概要は以下のとおりである。
専用アプリまたはウェブプラットフォームを活用
レースウィークの数日前から投票サイトや専用アプリで参加者リストを公開し、各ファンにお気に入りドライバーの投票を呼びかける。
投票期間とリアルタイム性
投票はレース本番の直前まで受け付け、結果は生放送内で即時、グリッド順として反映される。投票状況の途中経過も随時公開されるため、ファンの応援がゲーム展開に直結するダイナミズムが生まれる。
“投票×実力”のハイブリッド方式
完全な人気投票では運営側および競技の本質から懸念があるため、過去戦績や直近レースのアベレージタイムなど、運営が設定する「実力指標」にブーストポイントが付与される公平設計も取り入れる(ファン投票ポイントと実力ポイントの合算でグリッド順を決定)。
視聴者参加型レースが生み出す新しい価値
視聴者選出グリッド順の導入は、eモータースポーツならではの“ファン体験”を次の次元に引き上げる。単なる観戦者でなく、競技そのものの一部となる感覚を味わえるため、これまで以上の熱狂や関心を呼び込む効果が期待できる。
さらに、本方式が実現するのは「ストーリー性」の向上である。例として人気ドライバー同士の並びや、意外なダークホースが前列スタートとなることで、予期せぬ展開や逆転劇が生まれる。eスポーツ競技で重視される“エンタメ性”を、リアルタイムで最大化する仕組みといえるだろう。加えて、各選手やチームも参加前からより積極的なファン交流やプロモーション活動を求められ、内外の盛り上げが加速する。
課題と今後の方向性
一方で、純粋な実力主義からの逸脱や、人気・知名度といった外部要素が競技結果に影響するリスクなど、慎重な検証も必要とされる。UNIZONE運営では、グリッド変動の公平性保持のため、不正投票対策や、人気偏重を補完するポイントシステム導入を発表している。また、参加ドライバーやファンからの意見フィードバックを積極的に取り入れ、ルール設計の柔軟な見直しも続ける見込みだ。
おわりに
UNIZONE 2025でいよいよ実戦投入される「視聴者選出グリッド順」。旧来の枠組みを超えたインタラクティブな競技運営は、eモータースポーツがエンターテインメントとして新たなフェーズに入ったことを告げる象徴的な一歩だ。
今後の成否は、競技の公正性・ドラマ性・ファン体験のバランスをいかに取るか――その設計知恵にかかっている。視聴者参加型の未来型レースが、リアルモータースポーツ界や他分野のeスポーツにも波及していくのか。その注目すべき動向から、今後も目が離せない。