ビットコイン価格が調整局面に、機関投資家の慎重姿勢が影響
2025年2月、ビットコインをはじめとする主要な暗号資産の価格が調整局面に入っています。2月17日時点でビットコインの価格は95,763 USDT付近で推移しており、24時間で約1.26%の下落を記録しました。イーサリアムやリップルなど他の主要暗号資産も軒並み1-2%程度の下落となっています。
この下落の背景には、機関投資家の慎重な姿勢が影響していると見られます。1月に米国でビットコイン現物ETFが承認されて以降、機関投資家からの資金流入が続いていましたが、2月に入ってその勢いに陰りが見え始めています。ETFへの1日あたりの資金流入額は1月初旬の3.8億ドルから2月中旬には1.2億ドルへと大幅に減少しました。
さらに、マクロ経済環境の不透明感も価格下落の一因となっています。2月13日に発表された米国の1月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る3.1%の上昇となったことで、インフレ懸念が再燃しました。これを受けて米国債利回りが上昇し、ドル高が進行したことも暗号資産市場にとってはマイナス要因となりました。
テクニカル面では、ビットコイン価格が重要な抵抗線である98,000-100,000ドルを突破できていないことが、短期的な上値の重さを示しています。RSI(相対力指数)は50-60の範囲で推移しており、強気・弱気どちらにも偏らない中立的な市場感情を示しています。
一方で、長期的なファンダメンタルズは依然として強気の見方が優勢です。ビットコインのネットワークのハッシュレートは2月中旬に970 EH/s付近まで上昇し、過去最高水準を更新しました。これはマイニング業者の長期的な信頼感を示す指標と言えます。
また、取引所からのビットコイン流出が続いていることも注目されています。2月12日には主要取引所から約12,000 BTC(約11.5億ドル相当)が流出し、過去1週間では合計26,500 BTCが流出しました。これは投資家が長期保有(HODL)戦略を取っていることを示唆しています。
市場参加者の間では、現在の調整局面は健全な価格形成プロセスの一部であるとの見方が広がっています。JPモルガンなどの大手金融機関は、長期的にはビットコインの価格上昇を予想しており、現在の調整局面を買い増しの好機と捉える向きもあります。
ただし、短期的には95,000ドルを割り込むような下落が生じた場合、さらなる調整リスクに警戒が必要です。一部のアナリストは、90,000ドル付近まで下落する可能性も指摘しています。
今後の価格動向を左右する要因としては、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策や地政学的リスク、そして4月に予定されているビットコインのハルビングイベントなどが挙げられます。特にハルビングは、過去のサイクルでは価格上昇のきっかけとなっており、市場参加者の注目度は高まっています。
全体として、暗号資産市場は短期的な調整局面にありますが、長期的なファンダメンタルズは依然として堅調です。機関投資家の参入拡大や規制環境の整備が進む中、今後の価格動向から目が離せない状況が続きそうです。