ホームゲーミングPC/ゲーム機/半導体富士フイルム、ベルギーでCMPスラリー生産設備を拡充

富士フイルム、ベルギーでCMPスラリー生産設備を拡充

富士フイルム、ベルギーで半導体材料生産を拡大

富士フイルムは、欧州における半導体材料事業のさらなる拡大を目指し、ベルギーの生産拠点に約40億円を投資すると発表した。この投資により、先端半導体材料であるCMPスラリーの生産設備を新たに導入するとともに、既存のフォトリソ周辺材料の生産設備を増強する計画だ。

投資の背景

この大規模な設備投資の背景には、欧州における車載用半導体や産業用半導体の需要拡大がある。特に、製造工程のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える産業用半導体の需要が急増していることが大きな要因となっている。富士フイルムは、この成長市場において競争力を強化し、顧客ニーズに迅速に対応するため、現地生産能力の拡大を決定した。

CMPスラリー生産の新設

今回の投資の中心となるのは、CMPスラリーの生産設備の新設である。CMPスラリーは、半導体製造プロセスにおいて重要な役割を果たす材料で、年率13%という高い成長率が見込まれている。富士フイルムは、このベルギー拠点を加えることで、世界6拠点での生産体制を構築することになる。これにより、グローバルな供給網を強化し、CMPスラリーの安定供給をさらに確実なものとする。

既存の生産拠点は、米国アリゾナ州、台湾の新竹市および台南市、韓国天安市、日本の熊本県菊陽町に位置しており、ベルギー拠点の追加により、欧州市場へのアクセスが大幅に改善される。

フォトリソ周辺材料の生産能力増強

CMPスラリーの新規生産設備に加え、富士フイルムは既存のフォトリソ周辺材料の生産設備も増強する。具体的には、フォトリソ工程で使用される現像液の生産能力を拡大する。この増強により、欧州での車載用および産業用半導体の需要増に対応するとともに、高品質な製品を求める顧客の要求にも応えていく。

設備稼働時期と今後の展望

新たに導入するCMPスラリーの生産設備および増強する現像液の生産設備は、いずれも2026年春の稼働開始を予定している。この時期は、半導体市場の更なる成長が見込まれる時期と一致しており、富士フイルムは需要の拡大に合わせてタイムリーに生産能力を増強することができる。

富士フイルムは、この投資を通じて、5G/6Gによる通信の高速化・大容量化、自動運転の拡大、AIやメタバースの普及などに伴う半導体需要の拡大と高性能化に対応していく方針だ。同社は2024〜2026年度の3年間で、研究開発と設備投資をあわせて1700億円の成長投資を計画しており、今回のベルギー拠点への投資もその一環となる。

欧州半導体産業への影響

富士フイルムのこの投資決定は、欧州の半導体産業にとっても重要な意味を持つ。欧州連合(EU)は、半導体の自給率向上を目指す「欧州チップ法」を推進しており、域内での半導体関連産業の強化を図っている。富士フイルムの投資は、この政策方針とも合致しており、欧州の半導体エコシステムの強化に貢献することが期待される。

まとめ

富士フイルムのベルギー拠点への40億円規模の投資は、同社の半導体材料事業におけるグローバル戦略の重要な一歩となる。CMPスラリーの新規生産とフォトリソ周辺材料の生産能力増強により、欧州市場での競争力を高めるとともに、世界的な半導体需要の拡大に対応する体制を整えることができる。2026年春の稼働開始を目指し、富士フイルムは今後も半導体材料分野でのリーダーシップを強化していくことだろう。

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