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TSMC、AIチップ需要で史上最高の売上を記録、今後の戦略を探る

TSMC、AIチップ需要で史上最高の売上を記録、今後の戦略を探る

台湾積体電路製造(TSMC)は、2024年第4四半期および2024年通年の業績を発表し、売上高、純利益ともに史上最高を記録しました。この好調な業績の背景には、人工知能(AI)関連チップの需要急増があります。TSMCの魏哲家(C.C. Wei)CEOは、今後の戦略について詳細な説明を行い、AIチップ市場でのリーダーシップを維持しつつ、新たな成長機会を追求する方針を明らかにしました。

2024年通年の売上高は前年比18.5%増の7,250億台湾ドル(約3.2兆円)、純利益は同24.1%増の3,150億台湾ドル(約1.4兆円)となりました。特に第4四半期は、AIチップ需要の急増により、売上高が前年同期比7.9%増の1,960億台湾ドル(約8,700億円)を記録しています。

魏CEOは、この好調な業績の主な要因として、AIおよびハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)向けの先端プロセス技術の需要増加を挙げました。特に、3nmおよび5nmプロセスの売上高が全体の41%を占め、これらの先端プロセスがTSMCの成長を牽引しています。

今後の戦略として、TSMCは以下の3つの重点分野に注力することを明らかにしました:

AIチップ市場でのリーダーシップ強化:
TSMCは、2nm、1.4nm、そして1nmといった次世代プロセス技術の開発を加速させ、AIチップ市場でのリーダーシップを維持・強化する方針です。魏CEOは、「AIの進化に伴い、より高性能で省電力なチップの需要が増加しています。我々は最先端のプロセス技術を通じて、顧客のニーズに応え続けます」と述べています。

グローバル生産体制の拡充:
TSMCは、台湾以外での生産能力拡大にも注力しています。アメリカのアリゾナ州では、5nmプロセスの工場が2025年に稼働を開始する予定であり、さらに3nmプロセスの工場も建設中です。また、日本の熊本県では12nmおよび16nmプロセスの工場が2024年末に稼働を開始する予定です。魏CEOは、「グローバルな生産体制の構築により、地政学的リスクの分散と顧客へのサービス向上を図ります」と説明しています。

新たな成長分野への展開:
TSMCは、AIチップ以外の成長分野にも積極的に投資していく方針です。具体的には、自動車向け半導体、IoT(モノのインターネット)デバイス、そして5G通信インフラ向けチップなどが挙げられます。魏CEOは、「多様な市場に対応することで、持続的な成長を実現します」と述べています。

これらの戦略を推進するため、TSMCは2025年の設備投資額を300億〜350億ドル(約4.5兆〜5.2兆円)と、過去最高水準を維持する計画です。この大規模な投資により、先端プロセス技術の開発と生産能力の拡大を加速させる狙いがあります。

一方で、魏CEOは業界の課題にも言及しました。半導体サプライチェーンの脆弱性や地政学的リスク、そして熟練技術者の不足などが挙げられています。これらの課題に対処するため、TSMCは政府や業界団体との連携を強化し、人材育成プログラムの拡充にも注力する方針です。

TSMCの今後の展望について、魏CEOは「AIの進化により、半導体需要は今後も拡大し続けると確信しています。我々は技術革新とグローバル展開を通じて、この成長市場でリーダーシップを発揮し続けます」と締めくくりました。

TSMCの好調な業績と積極的な投資戦略は、半導体業界全体に大きな影響を与えています。AIチップ市場の急成長が続く中、TSMCの動向は今後も世界中から注目を集めることでしょう。

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