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NVIDIA新世代GPU『Blackwell』シリーズ、高需要で供給に課題発生も主要メーカーは対応万全

NVIDIA新世代GPU『Blackwell』シリーズ、高需要で供給に課題発生も主要メーカーは対応万全

NVIDIAの最新GPU世代「Blackwell」シリーズが発表されて以来、その圧倒的な性能と効率性から、データセンターからゲーミング市場まで幅広い分野で高い需要が発生している。特に、AIブームの加速に伴い、大規模言語モデル(LLM)の推論や学習用途での需要が急増しており、世界中の企業がBlackwell GPUの確保に奔走している状況だ。

Blackwellアーキテクチャは、前世代のHopperと比較して大幅な性能向上を実現している。特筆すべきは、LLM推論におけるパフォーマンスで、同数のGPUクラスタと比較して最大30倍の性能向上と、コストと消費電力を25分の1に削減できるとされている。また、単一のBlackwell GPUは最大1.4エクサFLOPSのAI演算性能と30TBの高速メモリを備え、10兆パラメータ級のモデルのリアルタイム推論も視野に入れている。

このような革新的な性能向上により、クラウドプロバイダーやAI研究機関、大手テクノロジー企業などが競ってBlackwell GPUの導入を表明している。しかし、この急激な需要増加は、供給面での課題を引き起こしている。

半導体製造プロセスの複雑さや、高度な製造技術を要するBlackwell GPUの生産には時間がかかるため、NVIDIAとその製造パートナーは供給を需要に追いつかせるのに苦心している。特に、最上位モデルのRTX 5090については、一部の小売店で入手困難な状況が報告されており、一部地域では発売時に混乱が生じたという。

しかし、このような供給の逼迫にもかかわらず、主要なPC・サーバーメーカーは対応に自信を見せている。例えば、ゲーミングPC大手のマウスコンピューターは、新ブランド「G TUNE」でRTX 5080を搭載した製品を発表。同社の購買担当者は、初期需要に対応する十分な数量を確保しており、今後の継続的な供給についても「大丈夫」と述べている。

また、サーバー・ワークステーション市場でも、ASUSがNVIDIA GB200 NVL72プラットフォームを搭載した「ASUS AI POD」の増産準備を整え、2025年3月から出荷を開始する予定だと発表している。ASUSは、AIスーパーコンピューティングからクラウドサービスまで、包括的なソリューションを提供する体制を整えており、顧客の多様なニーズに対応する準備を進めている。

さらに、グラフィックスカードメーカーのINNO3Dも、RTX 5090およびRTX 5080を搭載した新製品の発売を発表。高性能冷却システムを採用し、安定した動作を実現する製品を投入することで、ハイエンド市場での需要に応えようとしている。

NVIDIAも供給体制の強化に注力しており、製造パートナーとの協力関係を深めるとともに、生産能力の拡大を進めている。同社は、今後数四半期にわたって供給量を段階的に増やしていく計画を立てており、2025年後半には需給バランスが改善すると予測している。

一方で、このような供給逼迫は、AMDやIntelなどの競合他社にとってはチャンスともなっている。特にAMDは、高メモリ容量を特徴とするMI300XシリーズでNVIDIAに対抗しており、一部の顧客がBlackwellの代替として採用を検討しているという。

Blackwellシリーズの供給問題は、短期的には市場に混乱をもたらす可能性があるものの、主要メーカーの対応や競合他社の台頭により、中長期的には解消に向かうと見られている。今後は、NVIDIAの生産能力拡大の進捗や、競合他社の新製品投入など、GPU市場の動向に注目が集まりそうだ。

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