日本製半導体製造装置市場は、2025年も引き続き著しい成長を遂げると予測されている。その主な背景には、先端半導体技術への需要拡大、AI(人工知能)分野における大規模投資、そしてグローバル市場での競争力強化がある。特にAI、5G通信、データセンター需要の拡大が半導体の高性能化・大容量化を急速に推し進め、それに伴い日本製装置の革新と市場拡大を強力に牽引している。
日本半導体製造装置協会(SEAJ)によれば、2025年度の日本製半導体製造装置の販売高は前年度比2.0%増の4兆8634億円と見込まれており、これで3年連続の市場拡大となる。その後も成長トレンドは持続し、2026年度には同10%増の5兆3498億円、さらに2027年度には5兆5103億円に達する予測が発表されている。こうした堅調な拡大基調の背景には、大手半導体メーカーによる製造拠点の新設・拡張、新しい製造プロセスへの投資、そしてAIチップやデータセンター向け半導体需要の高まりがある。
また、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の調査でも、2025年第2四半期の世界半導体製造装置販売額は前年同期比24%増の331億ドルに拡大しており、日本市場もこの世界的な成長の波にしっかり乗っている。特に日本市場における成長率は、主要地域で最も高く前年同期比67%増と突出している。これは、アジア地域全体での半導体関連投資の増加や、特にHBM(広帯域メモリ)など最先端分野での需要が寄与していると考えられる。
日本製装置は、リソグラフィ、エッチング、成膜、洗浄、計測など各種プロセス装置で世界有数のシェアを持ち、その精密かつ安定した品質が評価されている。EUVリソグラフィ向け部材やプロセス技術、さらに次世代パワー半導体や3D積層技術でも現地メーカーの存在感が増している。
今後の課題としては、以下のような点が指摘される。
– 世界的な地政学リスクの高まりに伴うサプライチェーンの多層化・冗長化要求
– グリーン半導体、低環境負荷プロセス装置への技術シフト
– 新規参入国による競争の激化および技術流出リスク
一方で、日本政府による国内半導体産業強化・生産拠点促進のための積極的な補助政策も市場拡大に追い風となっている。先端量産ラインの国内建設、R&D型装置分野への研究投資拡大も顕著だ。
今後もデータ駆動社会の発展や自動運転・IoT・AIデバイスの普及といったメガトレンドと連動し、日本製半導体製造装置の需要は旺盛に推移することが見込まれる。また、競争力維持のためにも、多機能化・高速化・省エネルギー化など新たな付加価値を生み出す技術開発が絶えず求められる。
このように、2025年の日本製半導体製造装置市場は、AI関連投資を中心とした成長エンジンを背景に、引き続き高い成長基調が続くと予測される。今後の動向にも国内外の業界から注目が集まっている。