ホームゲーミングPC/ゲーム機/半導体日本の半導体市場、2025年に9.3%増で7.5兆円越え

日本の半導体市場、2025年に9.3%増で7.5兆円越え

2025年、日本の半導体市場は前年比9.3%増という大幅な成長を見せ、総額が7.5兆円を突破する見通しとなっています。これは、世界的なAI(人工知能)ブームや環境・自動化分野での革新が加速し、半導体の需要がこれまでにない水準に達していることを反映しています。この記録的成長にはどのような要因があるのか、そして今後の展望はどうなるのか、最新動向を詳しく解説します。

急成長の背景:「AI需要」が本格けん引

2023年から2024年にかけて、生成AIをはじめとする高度なAI技術の発展が世界中で半導体の需要を押し上げてきました。AIモデルの高度化・大規模化には圧倒的な演算能力が求められるため、GPUやNPUなど高性能半導体の投資が拡大しています。また、IoT機器や自動運転車、次世代通信(5G/6G)などの分野でも半導体は不可欠な「インフラ」として位置付けられ、需要領域のすそ野が広がったことも大きなプラス要因です。

さらに、産業界ではカーボンニュートラルや省エネ推進のための「環境対応」技術、工場やサプライチェーン全体の「自動化・デジタルトランスフォーメーション(DX)」推進も進んでおり、これらすべてに精密な半導体デバイスが必要とされています。

日本市場の拡大と世界市場の中の位置付け

世界の半導体市場も2025年には前年比12.5%増(約102兆円規模)となり、昨年の減速から一転、半導体業界全体が再び急拡大ステージに突入しています。その中で、日本の半導体市場は7.5兆円(前年比約9.3%増)と、世界シェアでは約7%強を維持しており、依然としてグローバルサプライチェーン上で重要なプレイヤーです。

2024年を振り返ると、日本市場は既に4.6%の成長を記録し、約6兆8670億円規模へと到達していました。これを上回る2025年の力強い成長予測は、日本国内のハードウェア・製造装置メーカー、材料企業、さらには新拠点を構える海外ファウンドリー(TSMC熊本工場など)の設備投資と連動しながら、産業構造の再編が進行していることを示しています。

主要企業の戦略と競争力

日本の半導体業界では、前工程からテスト・評価、素材に至るまで独自の強みを持つ企業が存在します。例えば半導体検査装置大手のアドバンテストは、AI半導体向けのテスタやデータ解析サービスの拡充に注力し、ミドル~ハイエンド領域で米国・中国・韓国メーカーとの差別化を一層鮮明にしています。特に、半導体複雑化の波が不可逆的に広がるなかで、世界No.1の地位をさらに盤石なものとすべく、サプライチェーンの強靭化と研究開発投資が強化されています。

また、日本の材料メーカーは先端フォトレジストや超平坦シリコンウエハー、高純度化学品など、半導体製造のコアとなる高付加価値分野で国際的な存在感を維持。台湾・韓国・米国など主要ファウンドリーと連携を深め、供給網の強化が進行中です。

今後の課題と成長の持続性

一方で、地政学的リスクや世界的なインフレ・金利上昇は、半導体需要全体の変動要因とされています。AI関連需要を除くと、従来型の半導体製品への需要はやや足踏みしており、2024年後半の世界市場は急回復が予想しづらい状況もみられます。

それでも日本市場は、AI・自動化・環境対応の「新たな成長領域」の恩恵を受け、今後も他国と強みを分け合う形でサプライチェーンの要となり続ける見通しです。エネルギー消費削減やリサイクル技術など、グリーン製造への対応も今後の主戦場となるでしょう。

2025年、日本の半導体産業は「AI革命」と「サステナビリティ革新」に伴い、量・質ともにグローバル市場への影響力を高めています。企業・市場・政策の三位一体による産業変革が、いままさに加速していると言えるでしょう。

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