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上位10社で世界市場95%独占、半導体製造装置業界の寡占化が進行

半導体製造装置業界は近年、世界市場における著しい寡占化が進んでいる。その象徴的な事例が、半導体薄膜形成に用いられるCVD(化学気相成長)装置市場だ。2024年時点で、上位10社がグローバル市場のおよそ95%を独占し、その中心には米国のApplied Materials、Lam Research、日本の東京エレクトロン(Tokyo Electron Ltd.、TEL)が君臨している。これら3社は「ビッグスリー」として、機器の供給や技術革新において圧倒的なリーダーシップを発揮し続けている。

この寡占は単なる売上数字だけでは測れない意味合いを持っている。半導体製造装置は、技術参入障壁が非常に高いことが背景にある。微細化競争の加速によって、最先端ロジック半導体やメモリの製造では、原子レベルでの高精度制御・均一成膜・高歩留まりが求められる。とりわけ3nmや2nm世代を見据える中で、FinFET構造からGAA(Gate-All-Around)構造への移行など、新たなデバイスアーキテクチャへの対応が急務となり、これに伴う装置開発力や量産経験の蓄積が不可欠となる。

しかも、こうした高度装置の開発には膨大な研究開発投資が必要な上、事業リスクも極めて大きい。結果として、資本力と技術基盤を持つわずか数社が市場で生き残る構図ができあがっている。逆に言えば、スタートアップや新規参入企業が一夜にしてシェアを奪うことはほぼ不可能な世界である。従って、寡占化は自然な市場進化の帰結ともいえる。

近年はこの「技術の牙城」に地政学リスクが影を落とし始めている。米中対立を背景に、各国が装置サプライチェーンの自立・多元化を推進する動きが活発化している。たとえば中国では、NAURA TechnologyやPiotechなど、国家支援を受けた現地装置メーカーが台頭し、自国ファウンドリーへの技術導入・現地供給体制構築を急いでいる。一方で、量・質ともに世界的なトップランナーとの差は依然として大きく、先端分野ではビッグスリーの牙城が揺るぎない状況が続いている。

CVD装置の寡占化や技術進化は、そのまま半導体産業の骨格に直結する。AI、5G、自動運転、データセンターといった先端アプリケーションの需要拡大が、ロジック・メモリ問わず新たな材料・プロセスの適用を加速させている。今や装置メーカーは単なるハードウェア供給者ではなく、顧客である半導体メーカーと二人三脚でプロセス最適化・共同開発を推進する「プロセスソリューション提供企業」としての役割を色濃くしており、このカスタマイズ力が企業の競争優位性につながっている。

また、これらプロセス技術の精度向上や品種多様化だけでなく、近年はカーボンニュートラルの要請に応じた「省エネ化」「プロセスガス削減」など環境対応技術の取り組みも急速に進行。装置のポートフォリオ設計においても、環境負荷低減と生産効率向上を両立させる新規技術開発が重視されている。

結論として、半導体製造装置業界、とりわけCVD装置市場は、圧倒的な寡占体制と技術・資本集約型の産業構造により、数社によるグローバル支配が鮮明に進行している。これは半導体全体の信頼性・性能の裏づけであると同時に、技術覇権争いやサプライチェーン強靱化の最前線でもあり、今後も世界経済・産業政策における重要なキーポイントであり続ける。

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