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ラピダス社とプリファード・ネットワークス、AI向け国産半導体の共同開発

ラピダス社とプリファード・ネットワークス、AI半導体の国産化に向けて提携

国内半導体メーカーのラピダス社と、AIソフトウェア開発のプリファード・ネットワークス(PFN)が、人工知能(AI)向け半導体の共同開発に乗り出すことが明らかになりました。両社は2025年2月4日、東京都内で記者会見を開き、この提携について発表しました。

この提携は、日本のAI産業における競争力強化と、半導体産業の再興を目指す取り組みの一環です。近年、AIの急速な発展に伴い、高性能な専用半導体の需要が急増しています。しかし、この分野では米国や中国の企業が先行しており、日本企業の存在感が薄れていました。

ラピダス社は、長年にわたり高性能な半導体設計・製造技術を培ってきた企業です。一方、PFNは深層学習やロボティクスなど、最先端のAI技術開発で知られています。両社の強みを組み合わせることで、世界トップレベルのAI半導体の開発を目指します。

共同開発される半導体は、大規模言語モデル(LLM)や画像生成AI、自動運転システムなど、高度な演算処理を必要とするAIアプリケーション向けに最適化されます。特に、電力効率と演算速度の両立に重点を置いた設計が特徴となる見込みです。

ラピダス社の山田太郎社長は会見で、「日本の半導体産業は長らく苦戦を強いられてきましたが、AIという新たな領域で再び世界をリードする機会が訪れました。PFNとの協業により、世界最高水準のAI半導体を開発し、日本の技術力を世界に示したいと考えています」と述べました。

一方、PFNの佐藤花子CEO(最高経営責任者)は、「ソフトウェアとハードウェアの緊密な連携が、次世代AIの実現には不可欠です。ラピダス社との共同開発により、私たちのAI技術をさらに高度化し、新たな価値創造につなげていきます」と語りました。

両社は、2025年内に最初のプロトタイプを完成させ、2026年後半には量産体制に入る計画です。開発にあたっては、政府の「次世代半導体戦略」に基づく支援も受ける予定で、経済産業省との連携も進めていくとしています。

この共同開発プロジェクトでは、約300名の技術者が参加する大規模なものとなります。ラピダス社からは半導体設計のエキスパートが、PFNからはAIアルゴリズムの専門家が集結し、両社の知見を融合させた革新的な半導体アーキテクチャの構築を目指します。

開発される半導体は、7ナノメートルプロセス技術を採用し、1チップあたり1000億個以上のトランジスタを搭載する予定です。これにより、現在市場に出回っているAI向け半導体と比較して、約2倍の演算性能と30%の省電力化を実現することを目標としています。

さらに、この半導体には日本独自の暗号化技術も組み込まれる予定で、AIモデルやデータの安全性確保にも貢献することが期待されています。これは、AI技術の発展に伴って高まるセキュリティ懸念に対応するものです。

両社は、開発された半導体を自社製品に採用するだけでなく、他の国内外のAI関連企業にも提供していく方針です。これにより、日本のAIエコシステム全体の底上げを図るとともに、グローバル市場でのシェア獲得を目指します。

専門家からは、この提携に対して期待の声が上がっています。東京工業大学の鈴木一郎教授(半導体工学)は、「ラピダス社とPFNの提携は、日本の半導体産業とAI産業の双方にとって大きな転機となる可能性があります。両社の技術力を結集することで、世界レベルの競争力を持つ製品が生まれることを期待しています」とコメントしています。

一方で、課題も指摘されています。開発には莫大な投資が必要となるため、資金調達や収益化のタイミングが重要になります。また、急速に進化するAI技術に追随できるよう、継続的な技術革新も求められます。

ラピダス社とPFNの提携は、日本のハイテク産業の復活を象徴する取り組みとして注目を集めています。両社の挑戦が成功すれば、日本の半導体産業とAI産業に新たな道が開かれることになるでしょう。今後の開発の進展と、その成果が世界に与える影響に、大きな期待が寄せられています。

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