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日本のソシオネクスト、北米で2ナノメートルプロセスの半導体開発へ

ソシオネクスト、北米で2nmプロセス半導体開発に着手

日本の半導体設計大手ソシオネクストが、北米で2ナノメートル(nm)プロセスの半導体開発に乗り出すことが明らかになった。同社は、人工知能(AI)や自動運転、5G通信などの先端分野で需要が高まる高性能半導体の開発を加速させる狙いだ。

ソシオネクストは、富士通とパナソニックの半導体部門が統合して2015年に設立された企業で、システムオンチップ(SoC)の設計に強みを持つ。今回の2nmプロセス開発は、同社にとって最先端の半導体製造技術への挑戦となる。

2nmプロセスは、現在量産されている最先端の3nmや5nmプロセスよりもさらに微細化が進んだ技術だ。トランジスタの密度が高くなることで、同じチップサイズでより多くの演算処理が可能になり、消費電力も抑えられる。AIや高度な画像処理を必要とする自動運転、高速大容量通信が求められる5G・6G時代に向けて、2nmプロセスの重要性は増している。

ソシオネクストは、北米の半導体ファウンドリー(製造受託企業)と提携し、2nmプロセスの開発を進める。具体的な提携先は明らかにされていないが、業界では台湾TSMCや韓国サムスン電子の北米拠点、あるいはIntel Foundry Servicesなどが候補として挙がっている。

開発拠点は、カリフォルニア州シリコンバレーに設置される予定だ。ソシオネクストは既に現地に設計拠点を持っており、今回の2nm開発プロジェクトのために人員を増強する。日本国内からも技術者を派遣し、グローバルな開発体制を構築する。

ソシオネクストの広報担当者は、「2nmプロセスの開発は、当社の技術力を一段と高め、グローバル市場での競争力強化につながる重要なプロジェクトです」とコメントしている。同社は、2027年までに2nmプロセスを用いた製品の量産開始を目指している。

この動きは、日本政府が推進する半導体産業再興の取り組みとも合致している。経済産業省は、国内の半導体産業の競争力強化を目的に、研究開発や製造設備への投資に対する支援を行っている。ソシオネクストの2nmプロセス開発も、こうした政策の後押しを受けているとみられる。

一方で、2nmプロセスの開発には莫大な投資が必要となる。ソシオネクストは、この開発プロジェクトに向けて今後5年間で約1000億円の投資を計画している。資金調達の詳細は明らかにされていないが、政府の支援や戦略的パートナーとの協力も視野に入れているという。

業界アナリストは、「ソシオネクストの2nm開発への参入は、日本の半導体産業にとって重要な一歩です。しかし、TSMCやサムスンなどの巨大企業との競争は厳しく、独自の強みを発揮できるかが鍵となるでしょう」と指摘している。

ソシオネクストは、2nmプロセスを用いた製品として、AI処理に特化したチップや、自動運転向けの高性能プロセッサ、次世代通信規格に対応した通信チップなどの開発を検討している。これらの製品は、自動車メーカーや通信機器メーカー、データセンター事業者などをターゲットとしている。

2nmプロセス開発の成功は、ソシオネクストの事業拡大だけでなく、日本の半導体産業全体の競争力向上にもつながる可能性がある。同社の挑戦が、かつて世界をリードした日本の半導体技術の復権への足がかりとなるか、業界の注目が集まっている。

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